１．ストレスによる不調とは
ストレスという言葉を知らない人はいないと思いますが、その実態について理解している
人はそれほど多くありません。ストレスとは外部からの刺激（ストレッサー）によって、
心や体に生じる反応のことを言います。もともとは、物理学の世界で使われていた「外部
からかかる圧力によって生じる物質のひずみ」を意味する言葉から転じたものです。
また、ストレス＝悪いというイメージで捉えられていることが多いですが、適度なストレ
スは生きる活力になったり、目標達成の意欲になったりもします。このように良い影響を
与えるストレスを「ユーストレス」と言い、意欲を低下させる過度の刺激やプレッシャー
などの悪いストレスのことは「ディストレス」と呼ばれています。
つまり、ストレスには２つの意味がありますが、その違いは「受け取る側の考え方」次第
という曖昧なものでもあるのです。つまり、人間はストレスを感じると、心身や行動面に
変化が現れます。その変化に気付き、どう対応するかで悪いストレスも良いストレスに変
えてしまうことができる可能性がありますが、その変化に気付かないままストレスをため
込んでしまうと、さまざまな病気を引き起こす原因にもなってしまうのです。
ストレスの原因となるものには、物理的なもの（気温・騒音・光・混雑など）、科学的な
もの（薬物・大気汚染・においなど）、社会・心理的なもの（対人関係・不安や怒り・仕
事や家庭問題など）があります。これらのストレスに気付かないまま長期化すると、やが
て、精神面や身体面に影響が出てくることになります。このようにして発症する心身の病
気の総称が「心身症」と呼ばれるものなのです。
心身症で良く知られているものに、頭痛・過敏性腸症候群・機能性ディスペプシア・うつ
病・心的外傷後ストレス障害（ＰＴＳＤ）などがあります。つまり、頭痛がしたり、どこ
も異常が認められないのに胃腸に不快感や痛み、下痢などの症状が現れたり、気分がひど
く落ち込んで、やる気が出ない無気力状態が続くといった症状に陥ったりするようなこと
を言います。
２．ストレスを解消する方法
ストレスを解消するには、まずは自分のストレス状態に気付くことです。ストレスを受け
ると、心身・行動面にさまざまな変化が起きてきます。その変化に気付くことができるか
どうかが大切なポイントになります。
心に現れる変化は、不安・緊張・悲しみ・イライラ・憂鬱・無力感・無気力などがあり、
体に現れる変化には、食欲不振・不眠・頭痛・動悸・胃痛・腹痛などがあります。そして
少しわかりにくいですが、行動に現れる変化としては、消極的になる・落ち着きがなくな
る・人を避けるようになる・飲酒、喫煙の増加といったものがあります。
これらの変化に自分で気付くことができれば問題ありませんが、他の人から指摘されたよ
うなときにも素直に受け入れる心構えが必要です。
ること」です。そのための方法が良質な睡眠です。不眠の症状もある人は漢方薬を試して
みると良いかも知れません。
次は、簡単な「運動をすることです。運動は筋肉の緊張をほぐしてリフレッシュしたり、
精神的な気晴らし効果が期待できます。
そして、最後は「考え方を変える」ことです。完璧・目標達成などといった自分を追い込
む傾向にある人は、目標を少し下げたり、こだわりを捨てて、心にゆとり持てるように肩
の力を抜いてみるなどで、ストレスをマイナスからプラスに変換できるように思考回路に
柔軟性を持たせるようにしてみましょう。
