１．自律神経失調症の基本的な原因
体調が悪くて病院へ行くと、自律神経失調症と診断されることがあります。その意味する
ところは、自律神経のバランスが乱れることによって心身にさまざまな症状が認められる
という状態のことです。つまり、症状に対する明らかな原因が見当たらず、自律神経と関
係するような症状に対して使われる「診断名」で、病名ではありません。
医者にとっては非常に便利な名称ですが、患者にとってはつかみどころのない診断名とい
うことになります。しかし、もう少し深く考えれば、悪いところがないということなので
すから、生命にかかわるような病気ではないということでもあるのです。
ただ、自律神経は目に見えることもなく、全身の臓器や血管といった生命に直接関係する
ようなところで働いていることから、ちょっとした乱れによる不調でも、本人にとっては
かなりショッキングな出来事に感じることが多いのです。例えば、静かに座っているよう
なときに、急に動悸が激しくなったり、汗が流れ出したりしたら、心中穏やかではありま
せんよね。自律神経失調症とはそのような種類の症状なのです。
本来、自律神経というのは、私たちの身体の外からの刺激や内部からの情報によって、生
きるために必要な血液の循環、消化、代謝、体温調整などの重要な機能を自動的にコント
ロールしてくれている神経なのですが、このバランスが崩れることで全身にさまざまな症
状が現れるものの、検査をしても特別な異常が見られないという状態のことを自律神経失
調症と呼んでいるのです。
自律神経の管轄内で唯一自分でコントロールできるのが呼吸と言われていますが、それ以
外のことは自分の意思では調整できません。心臓を止めたり、体温を上げたり、胃腸の働
きを抑えるなどできませんよね。そのような重要な働きをする自律神経は「ストレス」「
生活習慣の乱れ」「ホルモン」による影響を受けやすいと言われています。
なかでも、精神的なストレス、不規則な睡眠、甲状腺ホルモン・女性ホルモンの影響が特
に大きいとされています。
２．自律神経の乱れを解消する方法
自律神経が乱れる原因のなかでも、最も多いのがストレスと言われています。しかし、そ
のストレスというのもまた曖昧なもので、ストレスそのものの大きさもありますが、それ
を受け止める側の性格によっても大きく違ってきます。特に自律神経の乱れと関係が深い
とされる精神的なストレスは、どちらかと言えば本人の性格によるところが大きいのです。
一般的に精神的なストレスを受けやすいのが、いわゆる「心配性で内向的」「完全主義で
理想主義」「負けず嫌い」の性格、他人から見れば「真面目で仕事熱心な頑張り屋さんで
人に頼まれるとノーと言えない」非常に頼もしいタイプの人ですが、ついつい自分の限界
ポイントを越えてしまっていることに気付けない人です。物理的ストレスとしては高温な
環境や騒音の多い環境など、一般的に誰もが不快に感じるタイプのものです。
ストレスがかかると、自律神経の交感神経が活性化します。つまり、戦闘モードに入る訳
ですが、その時の体内では「心拍が上がり、血圧が上がり、呼吸が早くなり、瞳孔が開き
身体が強張り、消化作用が抑制され、胃腸の働き・唾液の分泌が悪くなる」といった状態
になっています。それが一時的である場合は特に問題になりませんが、長期間にわたって
続くと自律神経のバランスが崩れてしまうことになるのです。
なので、まずは自分の性格や生活環境を再確認して、問題かも知れないと思うところがあ
れば、そこのところから見直してみることです。特に性格は長い時間かけて形成されてい
るため、すぐには難しいかも知れませんが、できる範囲で改善していくという気持ちが必
要です。
生活習慣の乱れというのも範囲が広く、なかなか絞れないと思いますが、睡眠時間を安定
させることから始めて、生活のリズムを乱さないことを中心に考えましょう。
ホルモンに関しては、甲状腺ホルモンと女性ホルモンの影響が大きいと言われていて、甲
状腺ホルモンはバセドウ病や橋本病などの甲状腺疾患、女性ホルモンは生理・出産・更年
期などによって変動しやすいと言われていて、女性に多い問題でもありますが、ここはも
う割り切って考えることかも知れません。
また、近年、増加傾向にあるのがスマートフォンやパソコン操作などによるストレートネ
ックなどによる自律神経の乱れでと言われています。頚椎（首）には、脳と体をつなぐ重
要な血管や神経が通っているため、そこが圧迫されることで神経の流れが悪くなり、自律
神経も乱れやすくなると言われています。この場合は首の負担を減らすことが大切で、ま
ずは不必要にパソコンやスマートフォンを見続けないことです。
してみて下さい。
