血色素の値に注意
血色素とはヘモグロビンという名前の方が馴染みがある人が多いかも知れませ
んが、全身に酸素を運び、同時に不要な二酸化炭素を回収する働きをするタン
パク質の一種です。
血液は主に赤血球・白血球・血小板で構成されていますが、ヘモグロビンは赤
血球に含まれる主要な成分で、ヘム(鉄)とグロビン(タンパク質)で成り立
っています。
健康診断におけるヘモグロビンの基準範囲は、男性13.1~16.6g/dl、女性12.1
~14.6g/dlとされています。
貧血状態が長期にわたり、ゆっくりと進行しているような場合に起こりやすい
症状は、めまい・動悸・息切れ・倦怠感・頭痛・顔色の悪さなどがあり、更に
進むと手の爪が湾曲したり、唇の両端に炎症が起きたりします。
女性に貧血が多い原因としては、月経による出血、極端なダイエットなど病気
でない場合は比較的わかりやすいので、貧血のサインが出たらダイエットより
貧血改善を考える方を優先させるべきです。
貧血改善のための努力をしても改善されない場合は、女性特有の病気や胃潰瘍、
肝硬変などの病気が関係していることもありますので、医療機関できっちりと
検査を受けてみることも大切です。
女性の約20%が貧血と言われていますが、その大半は「鉄」の不足によるも
ので「鉄欠乏性貧血」と言われています。もちろん男性にも貧血は少なくなく、
特に思い当たる理由がないのに貧血になっているような場合は、背後に危険な
病気が隠れていることもあるので注意が必要です。
貧血の代表的な症状の1つに「めまい」があり、ときどき「立ちくらみ」と混
同する人がいますが、急に立ち上がったときに目の前が真っ暗になる立ちくら
みは、脳の血流調整機能が動きに間に合わず血圧が低下し、瞬間的に脳が酸素
不足になた状態で、安静にしていればすぐに回復する一時的な症状です。
ヘモグロビンの不足で体内の酸素が不足する貧血は、脳への血流は正常ですが
酸素が不足している状態です。
貧血を改善するには
鉄欠乏性貧血を改善・予防するには、ヘモグロビンの材料である「鉄」をしっ
かり摂取することに尽きるのですが、これが意外に難しいのです。
それは、「鉄」補給の基本は食事にあるとはいうものの、加工品の多い現代食
では、すでに鉄をはじめミネラル類が失われてしまっていることが多く、自分
が思っている以上に鉄が摂取されていないのです。
その上、鉄は吸収されにくく、動物性のヘム鉄でも10%程度、植物性の非へ
ム鉄なら1%程度しか吸収されないと言われています。
なので、吸収率を上げるためにはビタミンC、ビタミンB群、葉酸、銅、タン
パク質も積極的に摂取しなければなりません。要はバランスのとれた食生活を
心がけることです。
というと、食材ばかりに気が向きますが、吸収率を上げるには胃酸の分泌を促
進することも必要で、レモン、梅干し、酢などの酸味、唐辛子、わさびなどの
辛み成分で味付けをしたり、鉄製のフライパンを使うことなどでも効果があり
ます。一方で、コーヒーや紅茶、緑茶などに含まれるタンニンは鉄の吸収の妨
げになります。
健康診断で貧血と出る頃には「貯蔵鉄」も底をついていて、そこまで回復する
には半年ぐらいはかかるとされていますので、最初はサプリメントなども併用
して、しっかりと「鉄」の補給をすることです。