１．ヘバーデン結節とは
変形性関節症と言えば、すぐに思いつくのが膝の痛みだろうと思いますが、頻度の差はあ
るものの、関節のあるところではどこにでも起きる症状です。その原因も、解明されてい
る訳ではありませんが、加齢による軟骨組織の減少や関節部の過度な運動が関係している
と言われています。
そんな中でも、手の指の第一関節が変形したり、痛くなる変形性関節症のことをヘバーデ
ン結節と言います。特に日本人に多く、７０歳以上ではほぼ１００％が何らかの症状を発
生しているとも言われていますが、更年期以降の女性の発症率は、男性の３倍とも言われ
ていますので、女性ホルモンとの関係もあると推察されています。また、同じような症状
が第二関節に生じる場合はブシャール結節と言います。
ヘバーデン結節の症状として多くの人が経験するのが「痛みと腫れ」です。最初は手を使
うと痛みを感じる程度ですが、悪化すれば、何もしていなくても痛むことがあります。
見た目にも、関節部分が膨らんだり、傾いたりして、あまり美しいものではありませんが、
それ以上に、関節を支える靭帯も緩んでしまうため、物をつかむときなどでも、力が入り
にくく不安定になります。
また、膝の場合と同じく、水が溜まることもあり、関節の近くに水ぶくれのようなものが
できることがあります。この場合は、皮膚の病気ではありませんので、皮膚科の治療では
治りません。気になる場合は、皮膚科ではなく整形外科で相談しましょう。
ヘバーデン結節は、遺伝や環境など、さまざまな要因が関係していると言われていますが、
年齢が上がるほど発生率も上がるとされていますので、加齢によるリスク因子が、唯一で
はないものの大きく関係していることは間違いありません。
つまり、加齢による軟骨や骨の減少が主な原因で起こる症状であるということは、ある意
味、元通りに治る可能性はないとも言えますが、少なくとも痛みの緩和や手作業が可能な
レベルまでは回復できるものでもありますので、指に違和感を覚えたら、無理をしないで、
症状の改善に向けたケアをすることです。
ヘバーデン結節の可能性がある症状としては、指を軽くぶつけるだけでも激痛が走る、髪
の毛を洗ったり、キーボードを打つだけでも指先が痛む、指の痛みでよく物を落とす、指
先の関節がゴツゴツして赤く腫れる、といったものが多いようです。
ボールペンで字が書けない、コーヒーカップが持てない、指先で電車のつり革が持てない
といった症状がある場合は、すでにヘバーデン結節である疑いが濃厚です。
２．指関節症の対処方法
ヘバーデン結節は、指の第一関節が変形してしまう病気ですが、その変形の程度はさまざ
まで、すべての人が醜いまでに変形するというものでもありません。
４０代以降の女性に多く発症すると言われていますので、まだそのような目立った症状が
現れていなくても、身内に指が変形してしまった人がいるような場合は、まずは更年期対
策も兼ねて、サプリメントなどでエクオールなどの女性ホルモンの代わりをする成分を補
給することも１つの予防法としておすすめできます。
すでに、初期症状が出ている人は、指サポーターなどで固定することで、指が安定します
し、ある程度のところまで変形が進んでしまうと、痛みも改善されてくるようですので、
変形は仕方ないにしても、日常生活に不自由を感じなくなる人も多いと言われています。
ただ、合併症として嚢腫形成が起きる場合は、日帰り手術で切除するという方法もありま
すので、気になる人は整形外科を受診してみて下さい。
たまに、よく似た症状がでる慢性関節リウマチと勘違いしている人もいますが、慢性関節
リウマチは、普通、指の第一関節に起こることはほとんどありません。
また、ヘバーデン結節は、どちらかと言えば、マイナーな病気と見なされていて、病院へ
行っても、治らないのであきらめなさいといった感じの心無い結果になることもあります
が、完璧に元通りにはならないまでも、適切な処置をすれば、それなりに復調する疾患で
もありますので、悪化しないように、根気よくケアを続けて下さい。
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