１．男性の更年期と症状
更年期と言えば女性というのが一般的な考え方ですが、男性にも更年期があり、更年期障
害も起きることが最近の研究でわかってきています。ただ、女性のように閉経前後の５年
間（約１０年間）といったハッキリとしたものではなく、心身に不調が起こっていても、
「年のせい」「疲れているだけ」といった曖昧な判断で見逃されていることが多いと言わ
れています。
男性の更年期は、早い人なら３０代から起こるとも言われていますが、その原因になるの
は男性ホルモン（テストステロン）の減少です。加齢やストレスなどでも減少するとされ
ていますが、全身倦怠感、性欲低下、気力低下といった症状がその特徴です。ただ、男性
の更年期も一般的には、筋力低下、異常発汗、ほてり、肥満、頻尿など、女性の更年期症
状と似たものもありますが、体が急に冷えるようになったと感じるだけで、それがホット
フラッシュによるものと理解できていないようなことが多いのです。
また、心の症状としては、健康観の減少、興味や意欲の喪失、不眠、不安、うつ症状、記
憶力・集中力の低下といったところが良く知られています。
そして、女性以上に個人差が大きいのが男性の更年期で、もともと男性ホルモン（テスト
ステロン値）が高く元気な人ほど更年期による変化が激しく、低い人はダメージを受けに
くいと言われています。
２．男性の更年期の対策
男性も女性も、更年期の背景は性ホルモンの減少であることは同じですが、女性の場合の
生殖機能の減退による女性ホルモン分泌の減少に対して、男性ホルモンのテストステロン
の分泌は、加齢よりも生活習慣や社会的な活動と深く関係していると言われています。
例えば、定年退職で、生活リズムの乱れや社会とのかかわりが少なくなることで、男性は
更年期障害になることが多いと言われていたり、趣味をもって人生を楽しんでいる人は更
年期障害になりにくい（テストステロンの分泌が低下しにくい）と言われています。
そしてまた、いったんテストステロンの分泌が低下しても、社会生活で活躍の場が与えら
れたりすると、テストステロンの回復もあるとされているのです。
では、どうすればテストステロンを増やすことができるのかということですが、今から挙
げることに意欲的に取り組むという気持ちそのものが、テストステロンを増やす（エネル
ギッシュに目標に立ち向かう）行為であるということをまず認識して下さい。
最初にすることは、バランスのとれた食生活をめざすことです。テストステロンの原料は
脂質に含まれるコレステロールで、タンパク質で構成される酵素やビタミン、ミネラルな
どの働きでテストステロンに変わります。
次は、運動です。健康管理ではウォーキングなどの有酸素運動がおすすめですが、テスト
ステロンのベースアップにはスクワットなどの筋トレが推奨されています。１日に合計で
１０～３０回程度のスクワットを目標に行うようにして下さい。
そして、７～８時間の睡眠が必要です。これは他のホルモン同様にテストステロンも睡眠
中の分泌量が最も多いからです。
最後は、ストレスと体重管理です。過度のストレスはさまざまな障害の原因になりますの
で、言うまでもなく適切に解消する必要がありますが、体重は太り過ぎも痩せすぎもテス
トステロンにはよくありません。体脂肪が増えると、テストステロンを女性ホルモンに変
える酵素が増えますし、痩せすぎる（脂肪が少なすぎる）とテストステロンを作る原料が
不足してしまうからです。
いう選択肢も意味があります。
