骨も生まれ変わっている
一見、骨格は一度完成してしまうと、その後はずっと同じ骨のような気もしますが、実は
骨も新陳代謝されているのです。つまり、劣化した骨は新陳代謝により常にリニューアル
されている訳で、その「骨を壊す働き」と「骨を作る働き」のバランスが崩れて、作る速
度が壊す速度に追い付かなくなった状態を「骨粗しょう症」と言い、骨の密度が足りない
スカスカのもろい骨になってしまうことを言います。
骨粗しょう症は男性にも女性にも起こりますが、その８０％以上が女性と言われていて、
特に更年期からは急激に増加する傾向にあります。
女性ホルモンのエストロゲンは、骨の新陳代謝にも関係しており、骨からカルシウムが失
われるのを抑える働きをしています。そのため閉経期を迎えて女性ホルモンの分泌が低下
すると、一気にバランスが崩れ男性より急激に骨密度が低下してしまうのです。
特に、若い頃にダイエットなどで栄養不足状態にあった人は、もともと骨にカルシウムが
蓄積されていなかったり、家にこもりがちで運動量が不足していたり、喫煙や過度の飲酒
習慣のある人などは「骨粗しょう症リスク」が高くなりますので、できるだけ早く対策を
始めることが大切になります。
一般的には、女性の骨密度のピークは１８歳頃で、４０歳代前半頃までは一定で推移しま
すが、５０歳前後から低下し始めて、女性ホルモンの減少で急激に低下します。もちろん
加齢によるカルシウムの吸収率の低下、ビタミンＤの生成能力の低下、食事量、運動量の
低下なども関係してきますので、女性は骨粗しょう症のリスクにできるだけ早く気付いて、
できるだけ若い頃から食事や運動など、骨密度の減少防止に役立つ対策をすることが骨粗
しょう症の予防では大切なことなのです。
骨粗しょう症の症状と対策
骨の中なんて見ることができないと思っていませんか？もちろんその通りですが、実は骨
の状態は目でも確認できるんです。子供の頃には骨が成長しているので身長が高くなって
いきますが、逆に骨が劣化してくると身長が低くなります。つまり、骨の生産が追い付か
ず、カスカスになってくると背が低くなるのです。
たまに、ウインドウに映る自分の姿を見て、背中や腰が曲がってきたと思ったら、それも
骨密度が低下していると考えられますし、背中や腰に痛みを感じることが多くなった、食
べる量は少ないのにお腹がいっぱいになる、服の身丈が合わなくなった、と自覚したら、
それは「年のせい」だけではなく「骨粗しょう症」を疑ってみる必要があります。
特に、身長が４センチ以上縮んだ人は、かなりの確率で「骨密度が低下して背骨がつぶれ
ている（圧迫骨折）状態」にありますので、放置せず骨密度検査やレントゲン検査を受け
て、少しでも症状の悪化を防ぐようにしなければなりません。
骨粗しょう症の治療とは、骨密度の低下を抑えることですが、その先にあるのは「骨折」
の予防です。病院で処方される薬品は、骨吸収（骨を壊す）を抑制する女性ホルモン系の
薬、骨の形成を促進するビタミン系の薬、そして骨の成分であるカルシウム系の薬の３つ
が使われますが、それだけではなく食事療法や運動療法などの並行実施で骨の強度を高め
ていくことも必要になります。
それでも、効果が現れてくるのが数年先という気の長い治療になりますし、少し痛みが消
えたら服薬をやめる人も少なくなく、なかなか思うように治療できていない人も多いと言
われています。なので、骨粗しょう症になる前に、できるだけ早くから予防を始めること
が健康寿命を延ばす秘訣でもあるのです。
骨密度を低下させない食事療法は、乳製品や小魚などのカルシウム、青魚やシイタケなど
のビタミンＤ、納豆、ブロッコリーなどのビタミンＫ、を積極的に摂取することです。
ビタミンＤは、紫外線を浴びることでも体内で作ることができますので、骨の強度を高め
る運動療法を兼ねて散歩などで２０～３０分も歩けば十分です。夏などは木陰で過ごす程
度でもビタミンＤ対策としては問題ありませんが、紫外線対策を入念にしているような人
は食事からも摂取して不足しないように注意する必要があります。
また、意外に苦手な食べ物が多いという人も、カルシウムサプリメントなどを活用するこ
とで対策を考えることが大切です。骨が折れるまで放置するということだけは、最も避け
なければならないことです。
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