乳酸菌とビフィズス菌の違い
新型コロナウイルスなど、原因不明の感染症が広がると、最終的には免疫力の強化が話題
になり、腸内環境が注目されることになります。しかし、特にそのような状況下でなくて
も腸内環境を整えることは健康生活の基本であり、日頃から常に気を配り病気に対する抵
抗力をつけておくことが感染症の予防につながるのです。
では、その腸内環境を整えるにはというと、真っ先に思い浮かべるのはヨーグルトなどの
乳製品だろうと思いますが、そんなヨーグルトにも「乳酸菌入り」とか「ビフィズス菌入
り」とか書かれたものがあり、その違いを知らない人が意外に多いようです。
せっかくの努力が無駄にならないように、まずは効果的な整腸作用に必要な善玉菌につい
て知っておきましょう。
腸内フローラと呼ばれるさまざまな菌が集まっている大腸の中には「善玉菌」「日和見菌」
「悪玉菌」がいて、その割合が2:7:1が理想のバランスと言われていますね。
このバランスが崩れて悪玉菌が増えると、健康上あまりよくない状態なので善玉菌を増や
して理想のバランスに近づけようというのが腸内環境の改善ということになります。
そこで、その悪玉菌をやっつける善玉菌としては、乳酸菌が良いのかビフィズス菌が良い
のかということになるのですが、結論から言えば「ビフィズス菌」です。悪玉菌駆除への
貢献度で見ると99.9%がビフィズス菌、0.1%が乳酸菌ということがわかっています。
乳酸菌は乳酸という成分を作り出しますが、ビフィズス菌は乳酸の他にも酢酸という成分
も作り出し、実はこの酢酸が非常に強い殺菌作用を持っているのです。なので、悪玉菌を
減らし、善玉菌を増やすには乳酸菌よりビフィズス菌を摂取することが必要なのです。
ビフィズス菌は、健康な赤ちゃんなら腸内フローラの大半を占めるほど存在しているので
すが、加齢とともに減少し、その代わりに悪玉菌が増えてくることになります。つまり、
免疫力も弱くなり、さまざまな病気にもかかりやすくなるのです。
ビフィズス菌を増やすには
最近では、生きたままビフィズス菌が腸まで届くといったヨーグルトなども販売されてい
ますが、それはビフィズス菌は酸や酸素に弱いという欠点を克服したBB536というビ
フィズス菌の出現により可能になったものです。
ビフィズス菌BB536というのは、健康な乳児から発見されたヒト由来のビフィズス菌
で、安全性も認められて全世界で育児用粉ミルクやヨーグルトなどに使用されており、日
本でも機能性表示食品としてサプリメントなどにも広く使われています。
では、腸内環境を整えるということはどういうことかというと、一般的には便秘や下痢症
状の改善、免疫力の強化などが話題になることが多いですが、大腸ガンや結腸ガンをはじ
めとする発ガン予防、ウイルスなどの感染病予防、花粉症などのアレルギー予防、コレス
テロール値の低下効果、骨粗しょう症の予防効果など、おおよそ現代に生きる私たちの生
活には不可欠の成分ということになります。
しかも、このビフィズス菌BB536というのは、今から50年以上も前に日本の森永乳
業が発見開発した生粋の日本製品なのです。広く一般的に知られるようになったのは、同
社が発売した「ビヒダス」製品あたりになります。
ただ、腸内環境というのは、体調、食生活、ストレス、抗生物質など、刻々と変化し続け
るものでもあり、一度バランスが改善したからそれで良いというものでもありません。新
型感染症などの予期しない感染症などに備えるなら、コンスタントにビフィズス菌を摂取
する必要があります。特に高齢者になると、もともとの善玉菌が減少傾向にある上に、病
院等で処方される各種薬品もたくさん飲まれていたりして、一層善玉菌が少なくなる環境
が整うことになりますので、サプリメントなどで習慣としてビフィズス菌も摂取する必要
があると言えます。
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