胃痛が起こるメカニズム
ストレスや暴飲暴食が原因で胃が痛むということは一般的に知られていますが、そのよう
な要因で胃酸の分泌が増えたり、胃粘膜を守る胃粘液が減ったりすることで、胃の粘膜が
損傷することが胃痛の主な原因です。もちろん、胃痛の原因はすべてが同じではなく、他
の病気が関係していることもありますが、最も普通の原因が胃酸と胃粘液のバランスが崩
れることで起こります。
胃粘膜を守る機能を低下させる要因としては、ストレスによる自律神経の乱れが胃液の成
分比率を変えてしまうことや、辛い食べ物・アルコール・カフェインなどの刺激物の過剰
摂取、タバコによる血流の低下などによって起こる胃粘膜への刺激などが中心です。
胃痛は、みぞおちに痛みを感じたときに自覚しますが、腹部膨満感や胸やけ、吐き気など
の症状も、同じような原因によって起こります。また、胃痛が起きるのは食後に多いと言
われていますが、空腹時や夜間に痛むこともあるようです。
慢性的に胃痛が起こる場合は、ピロリ菌の検査をしてみることも必要です。胃液は金属も
溶かすというほど強力な胃酸を含んでいますので、ほとんどの細菌は死んでしまいますが、
ピロリ菌はウレアーゼという酵素によりアルカリ性物質を作り出すことで、胃の中でも生
き続けることができるのです。
そればかりか、ピロリ菌が発生させるアンモニアなどの毒素は胃粘膜を傷つけ、胃炎や胃
潰瘍、十二指腸潰瘍、胃ガンなどの原因になることも指摘されていますので、注意するに
越したことはありません。
胃痛を治す鍵はストレス
胃痛の原因として、ストレスと暴飲暴食と先に書きましたが、この場合のストレスは精神
的なストレスのことで、それが原因になり自律神経が乱れることで胃液のバランスが変わ
り胃痛が起きるという意味です。おそらく、そのように考えられた人がほとんどだと思い
ます。
しかし、ストレスというのは他にも意味があります。暴飲暴食をはじめ、コーヒーやアル
コール、食品添加物、睡眠不足など、精神的なものではないストレスです。そして、むし
ろ急性的な胃炎による胃痛は、こちらが原因であることが多く、精神的なストレスは慢性
的な胃痛の原因になっていることが多いのです。
つまり、胃痛（胃炎）は食品などの刺激（ストレス）により、胃に炎症（火事）が起きて
いるという状態です。これが急性胃炎による胃痛です。やがて炎症は治まりますが、その
場所は硬くなり、それを繰り返すことで胃壁に複数の硬い場所ができてきます。すると、
周辺の血流が悪くなり、冷えなどにより慢性的な不快感が出るようになるのです。これが
慢性胃炎と言われるもので、痛みは急性胃炎ほどでもありませんが、違和感が続くことに
よる苦痛が多いと言われています。
これらのことから、急性胃炎で胃がキリキリ痛みだしたというような時は、精神的なスト
レスを解消してもあまり意味がありません。まずは炎症を抑えることです。
胃痛の直接的な原因になっているのは胃酸ですので、とりあえずは胃酸過多用の市販薬や
ハチミツなどを舐めて、胃酸（火事）を落ち着かせることです。しかし、胃酸をコントロ
ールしているのは自律神経ですので、ここからは精神的なストレスも絡んできます。
また、加齢による消化機能の低下なども、物理的・精神的なストレスの影響を受けやすい
ので、ある程度の年齢になってから、胃痛や胸やけなど不快な症状が多くなったという場
合は、漢方薬などによる体質の改善も必要かも知れません。
病院で診察を受けた場合でも、原因はストレスですと言われたときは、精神的なストレス
のことか、物理的なストレスのことかをしっかり見極めることが大切です。
だいたいは、お医者さんも精神的なストレスを意味することが多いですが、胃痛に関して
は物理的なストレスの方が圧倒的に多いということを覚えておきましょう。
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