血糖値が高くなるということ
食事で摂取された糖質（炭水化物）は、ブドウ糖に変化して腸で吸収されて血
液中に含まれ、それが内臓や筋肉などの組織でエネルギーとして利用されます。
つまり、食事をすると一時的に血糖値が上昇して、健康な人なら２時間もすれ
ば正常値にもどります。しかし、正常値にもどらずそのまま高い状態が続くこ
とを「食後高血糖」といいます。これは糖尿病の早期段階の人に多い状態で、
健康診断で測る「空腹時血糖値」が正常であっても食後に高くなっていること
がよくあります。
健康な人が、食後２時間後くらいに元の状態に戻るのは、血糖値が上昇すると
膵臓からインスリンが分泌されて、血糖値が降下していくのですが、糖尿病や
糖尿病予備軍と言われる人は、このインスリンの分泌量が不足していたり、効
力が低下していて、食後２時間経っても血糖値が降下せず高血糖状態が続くこ
とになるのです。
ところが、糖尿病初期の段階では、更に時間が経過すると次第に血糖値が正常
な数値まで戻ることもよくあります。元に戻るなら問題ないと思う人もいます
が、問題なのは空腹時の血糖値の状態ではなく、食事のたびに異常な高血糖を
を繰り返しているということなのです。
しかし、ときどきゆるやかに血糖値が下降し、寝る前より起床時の血糖値の方
が高いという現象が起こります。これは、人間の体は食物だけではなく、肝臓
からもブドウ糖が放出されていて、寝ている間に少しずつ血糖が上がることに
よる現象ですが、これもインスリンの働きが低下していることの現れです。
このあたりの事情が分かってくると、「食後」と「空腹時」のどちらの血糖値
が高い方がリスキーかということも分かってきますよね。
高血糖が続くと、細小血管が障害を受け網膜症や腎症、壊疽などのりすくが高
くなりますし、大血管がダメージを受けると動脈硬化になり、そこから狭心症
や心筋梗塞、脳梗塞、下肢閉塞性動脈硬化などのリスクが高くなります。
特に心血管系疾患による死亡リスクは、空腹時血糖値が高い人が正常な人と同
じ程度なのに比べ、食後高血糖の人はかなり高くなるというデータがあります。
食後高血糖に潜む病気リスク
空腹時血糖値が正常だから大丈夫と思っていた人も、ちょっと心配になってき
たかも知れませんが、ここで「食後高血糖」による具体的なリスクを紹介しま
すので、怖くなった人は、今から、すぐに血糖値に敏感になっていただきたい
と思います。
食後高血糖というのは、食後２時間以上経過しても血液中のブドウ糖の量が減
らない状態が続いているということです。つまり血管内を砂糖水が流れている
ような状態なんですね。
これは、今流に言えば「血液ドロドロ」ということで、網膜や腎臓などの極小
血管がまず詰まる恐れがあり、失明や人工透析のリスクが高くなるということ
です。更に太い血管にも障害が及ぶと動脈硬化から心筋梗塞や脳卒中などの発
症リスクが高まります。
また、原因はハッキリしていませんが、高齢者の認知機能にも影響を与えると
言われていますし、神経細胞に障害が起きると、小さな傷や痛みを感じにくく
なり、更に血管障害で回復も遅くなり、感染症にもかかりやすくなります。こ
のことは足の「壊疽」につながり、最終的には足の切断という事態に至ります。
まさかそこまでと思われるかも知れませんが、実は注意して見れば、あなたの
周りにもそのような人が意外に多く見つかるはずです。
そして、もう１つ大切なことですが、ブドウ糖は「脳」と「ガン細胞」の唯一
の栄養源なのです。脳にブドウ糖が行き渡ることはそれほど問題にはなりませ
んが、ガン細胞にブドウ糖がふんだんに供給されるリスクは言う間でもなく、
非常に危険な状態にあるということは理解できますよね。
リスクは分かったけど、具体的にはどうすればいいのか分からないという人も
いるかも知れませんが、やはり食生活の見直しと適度な運動が、血糖値を下げ
る最も簡単な方法なのです。
まずは、食べ過ぎに注意して、日常歩くことを習慣化しましょう。それだけで
もかなり違ってきますし、空腹時血糖値が正常であるなら、今が大切なときで
すので、変なサプリメントなどではなく血糖値対策のための機能性表示食品な
どを利用するなど、ともかく血糖値を上げないような工夫をすることが、下げ
る努力をするより楽に調整できるということを覚えておきましょう。