いびきと生活習慣病
いびきの原因は、睡眠中にのど(上気道)が狭くなり、そこを空気が通るときに出る振動
音ということはよく知られています。寝ているときは喉周辺の筋肉がゆるみますので、誰
でも多少は狭くなり、寝息と言われるようなわずかな振動音が出ます。
いびきには「睡眠時呼吸障害」という病名があることをご存知でしょうか?これは喉に異
常があるため、睡眠中にうまく空気を取り込めず呼吸困難な状態になっていて、無意識に
頑張って空気を取り入れようとするため喉の振動数が増えて大きな音(いびき)になるの
です。
特に、喉に異常がなくても、深酒や風邪、疲労などが原因で、一時的に大きないびきをか
くことがありますが、ここで言う睡眠時呼吸障害というのはそういうものではなく、慢性
的にかく大いびきのことです。
睡眠時呼吸障害より、それが重症化した睡眠時無呼吸症候群の方が馴染みがあるかも知れ
ませんが、大いびきの最中に急に音が消えて静かになるときがあります。周囲の人は静か
になったので熟睡していると思うかも知れませんが、実はそれは喉がふさがって呼吸その
ものが止まっている状態なのです。
そのような10秒以上の無呼吸状態が7時間睡眠中に30回以上(1時間に5回以上)あ
る場合を睡眠時無呼吸症候群と診断されます。
睡眠時無呼吸症候群はもちろんですが、睡眠時呼吸障害と言われる「いびき」をかく人は、
程度の差はあるものの、睡眠時の血液中の酸素量が低下することになります。多い人では
健康な人より30%も低下するとも言われていますので、日常生活に支障が出る他、生活
習慣病の原因になったりもすると言われているのです。
血液中の酸素濃度が低下する訳ですから、それを補うために心臓が頑張ることになります
し、二酸化炭素が増える訳ですから血管が収縮します。つまり、高血圧や狭心症、心筋梗
塞、脳梗塞のリスクが増えるということになります。
また、二酸化炭素が増えると、血液が酸性化されることでインスリンの働きが抑制された
りもしますので糖尿病の原因にもなります。
大いびきをかく人は全体の3割弱と言われていますが、男性に限れば約5割、特に中高年
の男性に多いと言われています。生活習慣病と診断される男性がこの年代に多いというこ
ととも無関係とは考えにくいですね。
大いびきの改善方法
いびきの原因はいろいろありますが、肥満、寝る姿、飲酒習慣、鼻や喉の病気といったと
ころが主なところです。鼻や喉の病気を自覚している人は、当然そちらの治療を先にする
ことになりますが、それ以外は自分でも何とかできるものなんですね。
中高年のいびきの原因で一番多いのが肥満と言われていますので、その原因がどうこうよ
り、まずは体重を減らしてみましょう。それだけも、いびきだけではなく生活習慣病対策
にもなりますので、やらない理由がありません。
次に飲酒ですが、これは自己意識以外の何ものでもありませんね。いびきや生活習慣病と
本気で向かい合う気があるかどうかで決まります。
そして、寝る姿です。これには「仰向けに寝る」「口を開けて寝る」という2つがいびき
に関係しています。仰向けに寝ると舌の落ち込みが大きくなるため喉が狭くなります。さ
らに口が開きますので口呼吸することになります。いびきの条件が整うことになりますが、
肥満が重なると、舌や喉の内側にも脂肪がついていっそう狭くなりますし、横向きになり
にくいので仰向けに寝ることが多くなります。
つまり、鼻や喉の病気を治す、肥満を解消する、過剰飲酒を控える、横向きに寝る、鼻で
呼吸をすることがいびきを改善して、生活習慣病リスクも下げることにつながるのです。
横向きに寝ることは、いびき対策に良いとよく言われていますが、寝てしまうとその姿勢
を保つことが難しいとも言われています。ただこれは枕を変えてみると意外に簡単である
とも言われています。本気でいびき対策を考えるなら「横向き寝専用枕」を買ってみると
いうのも安い投資かも知れません。