鉄が不足しているサインとは

欧米では鉄不足を補うために、日常の食材に鉄分を添加したり、妊娠を控える
よう指導する国もあるほど、鉄分の不足は深刻なことと捉えているのですが、
更年期以前の女性の大半が鉄不足と言われているにもかかわらず、日本では何
の対策もされていないという不思議な現状があります。
 
血液検査による判定では、ヘモグロビン値が男性＜１３g/dl、女性＜１２g/dl
で貧血とされていますが、ここに貧血と出てくる時には鉄不足は深刻で、すで
に重症のレベルと考えるべきです。
 
フェリチンという体内の鉄分を反映するタンパク質を測れば、このころまでに
は、ほぼ貯蔵量が無くなっているのが普通です。
 
　　　　　　　　　
 
ところが、鉄分不足と言えば、貧血による「めまい」程度しか思いつかない人
が大半で、そのこと自体すでに鉄不足に対する関心の低さを物語っているとい
うことかも知れません。
 
鉄不足と考えられる症状には、あざ、骨・肌異常、爪・毛髪・舌異常、不眠、
集中力低下、うつ、パニック障害、不妊症、抵抗力の減少、嚥下障害、食欲不
振、下痢、便秘、氷を食べたくなる、頭痛、イライラ、耳鳴り、肩こり、疲労、
むずむず脚、などがありますが、鉄不足と気付いていないところが問題で、血
液検査で数値となって現れていなくても、このような症状が見られる場合は鉄
不足を考えてみる必要があります。
 
ヘモグロビンは体のすみずみまで酸素を届ける働きをしているので、これが不
足すると身体が酸素欠乏状態になっているということなので、駅の階段を上る
といったような軽い運動でも動悸・息切れがしたり、顔色が悪かったり、疲れ
やすかったり、日常生活でもさまざまな異常が出てきます。
 
　　　　　
 
貧血というと、血液が不足していると考える人もいますが、血液量は変りませ
んが、血液中の「赤血球」の「質」と「量」が低下するのが貧血です。そして、
その中でも最も多いのが「鉄欠乏性貧血」という鉄分の摂取不足による貧血な
のです。
 
また、体中の組織が酸欠状態になると、めまい、頭痛、失神、肩こり、動悸な
どが起こり、車を運転中に意識がなくなるといったことも珍しいことではあり
ませんし、酸欠分を脈拍を上げることで酸素量を増やそうとして心不全を引き
起こすこともあるのです。
 
このような命にかかわるほど深刻でないにしても、肌荒れ、抜け毛といった細
胞の新陳代謝の低下による精神面での負担の大きい症状が現れることも少なく
ありません。
 

　鉄不足になったときの対処法

病気や鉄欠乏性貧血以外の原因による貧血の場合は、まずその方面の治療が必
要ですが、鉄欠乏性貧血の場合は鉄分の補給で改善することができます。
 
ただ、鉄分を摂取しても、新しく赤血球が作られて、貯蔵鉄が十分になるまで
６ヶ月程度が必要で、根気強く治療するという強い意志も必要になります。
 
　　　
 
鉄分は肉や魚など動物性食品に含まれるヘム鉄、野菜や豆類・穀物などの植物
性食品に含まれる非ヘム鉄がありますが、その吸収率がヘム鉄で２０％程度、
非ヘム鉄で３％程度と非常に低く、鉄分の吸収率を上げるビタミンＣ、赤血球
を作りだすビタミンＢ１２なども積極的に摂る必要があります。
 
更に、鉄の吸収を悪くする食べ物に、食中・食後のコーヒー、紅茶、緑茶など
タンニンを含むもの、ハムやソーセージなど練り製品、清涼飲料水、スナック
菓子などに添加されるリン酸塩も鉄の吸収を妨げます。
 
また、便秘改善に良いと言われる玄米・おから・ふすまなどの不溶性食物繊維
も鉄分の吸収を妨害してしまいます。
 
単に鉄分を摂れば良いというだけのことですが、これらの要素をすべて満たし
ながら吸収率に見合った量の食品を摂取するということは、実はかなりハード
な試練かも知れません。
 
　　　　　　
 
例えば、豚レバー１００ｇ中の鉄は１３mg、吸収率２０％とすれば、１日の必
要量を摂取するためには５００ｇのレバーを毎日食べる必要がある訳です。
 
もちろん、それでも続けられるという強い意志のある人は、それがベストです
が、自信がないと思う人はサプリメントによる鉄分摂取をおすすめします。
 
少なくとも、最初の数カ月はしっかりと確実に鉄分を補給することが、貧血改
善への本筋なので、ここはしっかりと実行したいところです。
 
必要鉄分はもちろん、ビタミンＣ、ビタミン１２の他に葉酸や動物性タンパク
質など、鉄分の吸収から赤血球の形成までの必要な栄養素も一緒に摂取できる
タイプのサプリメントがおすすめです。
 
貧血改善のためのサプリメントは女性向けに書かれたものが多いですが、男性
でも貧血に関しては同じもので全然問題ありません。