ミョウバン水と塩化アルミニウム
少し前までは、デートで手が握れないとか答案用紙や書類が手汗で濡れるとかいう悩みが
中心でしたが、最近はほとんどの人が日常生活でスマホやパソコンを使うようになったの
で、手汗の悩みを持つ人も増えてきました。
悩みと言っても、その手汗の量にもよりますが、一般的には「手のひらが濡れる」「手を
握ると汗が落ちる」「手を開いていても汗が落ちる」という３つのランクに分かれます。
そして、その原因は「緊張」とか「自律神経の乱れ」などとよく言われますが、もちろん
そういうこともありますが、子供の頃からずっと緊張しっ放しとか、自律神経が乱れっ放
しということはありませんし、もしそうなら手汗以上にそちらの心配をしなければなりま
せん。つまり、手汗で悩んでいる人は、そのような一時的に手に汗をかくといったことで
はなく、汗を管理する交感神経が異常な働きをする「多汗症」という病気なのです。
ということは、精神的なストレスを無くすとか、アロマや音楽を聴いてリラックスすると
いったことでは治ることはありません。
そこで、昔から手汗に良いと言われているミョウバン水や塩化アルミニウムならどうかと
いうことになるのですが、ハッキリ言って、これらも実はあまり効果がありません。
塩化アルミニウム液を使ったことがある人なら、すでにご存じだと思いますが、手のひら
が濡れるという軽いランクの人なら約半数程度の人に改善がみられると言われていて、そ
れ以外の人にはあまり効果がないということです。つまり、それほど気にする必要がない
程度の手汗をかく人の約半数ほどに効果があるということで、生活に支障をきたすほどの
汗をかく人にはほとんど意味がないということなんですね。
では、ミョウバン水はどうかというと、こちらは汗の臭いに効果があるもので、基本的に
汗を止めるものではありません。汗と雑菌がまざることで発するニオイの原因を抑えるた
めのもので、汗ではなく雑菌の繁殖を抑えるものなのです。
手汗を止める納得の方法とは
手汗は保険適用もされている身体異常なので、もちろん病院で治療を受けることができま
すが、病院ではまずランクを診断して、軽い手汗なら塩化アルミニウムで様子を見ること
から始めます。それでダメならイオン導入法という「手にやけど」をさせて止める方法が
ありますが、これも一時的（２～３日有効）な方法にすぎません。結婚式など大切な日の
ための応急処置ということですね。
完全に止めるには、異常な働きをしている交感神経を手術で止める方法しかありません。
しかし、これは「代償性発汗」という、手の汗の代わりに他の部位の汗が多くなってしま
う確率が非常に高く、それが背中ならそれほどでもありませんが、脇の下だったりすると
よけいに辛い思いをするかも知れません。
手の汗をはじめ、汗をかくエクリン腺は加齢とともに休眠する場合が多く、自然に治って
しまったという人も多いので、よほどのことがなければ手術よりは放置がいいのかなと思
います。とは言っても、実際にいつも手に汗をかいている人にとっては、そんな悠長なこ
とは言ってられない問題かも知れませんが、最近は瞬間的に手汗を止めるという制汗剤も
多く出ていますので、そのようなものを使ってみるというのも１つの方法です。
１日に何度も塗るのは面倒なんて人もいますが、手が汚れたら１日に何度も手を洗うので
すから、汗も気になったら何度も塗ればいいだけのごく普通のことなんですけどね。
案外、悩みを持つ人は、自分で何とかしょうと努力しない横着な人が多いのかも知れませ
んが、最近の制汗剤はホントに優れたものが多いですので、ぜひ試してみて下さい。
