1.ニガリの成分と効果
昔は、豆腐と言えばニガリというほど豆腐作りには欠かせない材料でした。ニガリとは、
海水を煮詰めて塩を作った後に残る透明の液体のことですが、実はそこには、私たちの健
康に必要な栄養素がたくさん含まれているのです。
その主成分はマグネシウムですが、他にも数十種類ともいわれるミネラルが含まれている
のです。食塩は塩辛いですが、ニガリは舐めると苦味があり、食塩とはまた違うコクと旨
味を出すことでも知られています。
昔、ギリシャのマグネシア地域で採れる鉱物に、さまざまな病気を治す効果があるとされ
たことがマグネシウムの名前の由来ですが、私たちの血液中にもマグネシウムが含まれて
おり、それが欠乏することで「心臓不整脈」「カルシウムの減少」「血中コレステロール
の増加」「腎臓機能の低下」など、健康にとってさまざまな悪影響をもたらすことがわか
っています。
なかでも、カルシウムとは密接な関係があり、骨の生成や代謝に必須の働きをすると言わ
れています。実際、人間の体内にあるマグネシウム量は約25gとなっていますが、その
うちの約60%が骨に存在していて、カルシウムやリンなどと一緒になって骨を作る大切
な働きをしているのです。つまり、マグネシウムは摂取されると骨に貯蔵されて、不足す
ると骨から血液中に溶けて補充されるようになっているということになります。
骨粗しょう症というと、すぐにカルシウムの補充と考える人が多いですが、それと同じバ
ランスでマグネシウムも摂取しなければ予防効果はそれほど高くなりません。むしろカル
シウムのみの過剰摂取はマグネシウムの吸収低下をまねき、ほとんど意味のないものにな
ってしまうのです。
2.ニガリの摂取の仕方
マグネシウムは健康のためには欠かせないミネラルであることはお分かりいただけたかと
思いますが、だからと言って過剰摂取は逆に健康を害することになったりもします。何事
もバランスが大切で、マグネシウムを摂り始めて「軟便」「下痢」症状が出るような場合
は、過剰摂取気味ということになります。とは言っても、普通に食事で摂取する程度のマ
グネシウム量では体調に悪影響を及ぼすようなことはありませんが、サプリメントなどで
摂取する場合、特に高齢者や腎臓疾患のある人は十分に注意する必要があります。
摂取量の目安として、厚生労働省の定めるマグネシウムの上限摂取量は、成人は1日当た
り350mgとされていますので、ニガリを摂りたいが心配という人は参考にして下さい。
ニガリの具体的な摂取方法としては、料理に使うのがもっとも簡単で効果的な方法です。
炊飯時に加えると、ご飯がふっくらツヤヤカに炊きあがりますし、煮物に加えると、煮崩
れがしにくくなりますし、コクのある味に仕上がるようです。また、肉料理の下味に使う
と、肉質が柔らかくなります。料理をしないという人は、お茶やコーヒー、酒などに加え
るという方法でも問題ありません。
国民健康・栄養調査では、マグネシウムは不足しがちな栄養素とされていますので、マグ
ネシウムの補給だけではなく、料理の見栄えも味もアップするニガリを上手に使って健康
な日々を送るようにしましょう。
のがこちらのニガリです。それほど高価なものでもありませんので、料理のプラス効果と
骨粗しょう症予防にぜひ試してみて下さい。