超えてはいけない血糖値ライン
糖尿病とは、血液中のブドウ糖の濃度が上がる病気です。と言われても、ほとんどの人は
ピンとこないと思いますし、少しぐらい高くても、痛くもかゆくもありませんので、すぐ
に問題になることもありません。
しかし、そのような状態が数年間続くと、いわば砂糖水が血管を流れているようなものな
ので、全身の血管に障害をきたし、さまざまな合併症を引き起こします。実は糖尿病で怖
いのはこの合併症の方なのです。
合併症と言えば、心筋梗塞や脳梗塞などを考えがちですが、それ以外にもたくさんあり、
その代表的なものに「神経障害」「網膜症」「腎症」があります。これを糖尿病の三大合
併症と言っています。
神経障害というのは、足のしびれや痛みなどがありますが、進行すると麻痺状態になり傷
をしても感じなくなり、足が壊疽したりして最悪は足を切断することもあります。
網膜症は、視力の低下から失明に至ることもありますし、腎症は、むくみ症状から最悪は
人工透析といった感じで、いずれもその後の人生を悲惨なものにしてしまいます。
これらの合併症は、糖尿病になってもすぐに起こる訳ではないので、手遅れにならないう
ちに血糖値を下げて予防しましょうということなのです。
ところが、糖尿病初期の段階では、血糖値が高いと指摘されても、その兆候がほとんどな
いため「何も悪いところがないのに治療する理由がわからない」「検査結果がまちがって
いるのではないか」「自分に限っては悪化しないと思う」など、勝手な判断をしてしまう
ことが多いのです。
ただ、健康診断で空腹時の血糖値を1度測っただけでは、正確に判断することはできませ
んし、血圧の測定値と同じように考えてしまい自分勝手な判断をしてしまう原因にもなり
ますので、血糖値が高いと言われたら、必ず「HbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)」
の測定もしておくことです。その結果が6.9%を超えると間違いなく合併症の可能性が高
くなりますので、6%未満の状態に近づける努力をしなければなりません。
血糖値を上げるのは炭水化物だけ
糖尿病になると、甘い物や糖を控えるようになりますが、それは当然のこととしても、実
は最も注意しなければいけないのが「炭水化物」です。つまり、日本人の主食である米や
小麦などで、ご飯、パン、麺類などを控えないと血糖値を下げることはできません。
とは言っても、炭水化物は3大栄養素の1つになっているので、これを完全に抜くと血糖
値は下がっても、逆に体にはさまざまな悪影響が出てきます。
まさに、血糖値をコントロールするのは「炭水化物」をどうコントロールするかにかかっ
ていると言ってもいいのです。
炭水化物は、わずかの食物繊維と多くの糖質で構成されています。そしてその糖質がグリ
コーゲンという多糖類になって肝臓や筋肉に蓄えられ、更に分解されてブドウ糖に姿を変
えて血液中に入って全身に運ばれるのです。
つまり、この炭水化物を過剰摂取すると、血液中のブドウ糖の濃度も上がります。健康な
人ならインスリンというホルモンが膵臓から分泌されて血糖値を下げる仕組みになってい
ますが、このインスリンの機能が不足すると血糖値が高いままになってしまいます。
この血糖値が高いままの状態のことを「糖尿病」というのです。
インスリンの機能が低下する原因はいろいろありますが、大きな原因の1つは加齢による
インスリンの分泌量の低下、インスリンの効力の低下などと言われており、糖尿病は一度
発症すると完治しない病気と言われる理由でもあります。
では、どうすれば良いのかということですが、ぶっちゃけ「糖尿病」は「体の老化」とも
考えられるので、膝関節痛や老眼などと同じで、ある年齢からは誰にでも糖尿病になる可
能性があるということです。
例えば、インスリンの効力が低下する年代なのに、若い頃と同じ食欲では血糖値が正常で
ある方がおかしいというところかも知れません。
なので、自分で糖質の摂取を控えるか、インスリン注射などでインスリンを注入するしか
血糖値を下げることはできません。
まだ、軽度のうちは糖質の摂取を控えることで対応できますので、まずは頑張って「糖質
の摂取を減らす」か「糖質の吸収を抑える」ことです。