脂漏性皮膚炎って何？
脂漏性皮膚炎（しろうせいひふえん）ってあまり聞かない名前ですよね。脂漏
性皮膚炎は皮脂の多い部分に起こる皮膚炎で、初期の症状は、アレルギー性皮
膚炎や刺激性皮膚炎とよく似ているので放置されることが多いのですが、炎症
を起こして地肌が赤くなったり、かゆみをともないます。
もちろん、皮膚が荒れてカサついたり、細かくはがれ落ちたりすることもめず
らしいことではありません。このような症状を繰り返す場合は、脂漏性皮膚炎
を疑ってみる必要があります。
脂漏性皮膚炎が他の皮膚炎と大きく異なるのは、その原因になっているのが、
カビの一種の真菌だということなのです。 真菌と言えばすぐに思い出すのが
水虫ですよね。あなたの周囲に水虫で悩んでいる人はいませんか？
真菌による皮膚炎は、慢性化、再発が普通ですので、ともかくきっちりと適切
なスキンケアをすることが大切なんです。
以前は、脂漏性皮膚炎はホルモンバランスの乱れ、ビタミンＢの不足、過剰洗
顔などが原因と言われていて、もちろんそれらも無関係ではありませんが、最
近の研究では、マラセチアという私達の皮膚に住む常在菌の１つが原因になっ
ていることがわかってきました。
この菌は、普段は無害なのですが、皮脂や汗などの分泌物の成分をエサにして
増殖するため、そのような環境になりやすい鼻の周辺や頭皮に炎症が広がりや
すいとされています。また時には、首周りや胸、背中などにも見られることが
あります。
基本的には、水虫と同じような性質の皮膚炎ということになりますので、何度
も同じような症状を繰り返している人は、放置して悪化させないように適切な
スキンケアを始めましょう。
脂漏性皮膚炎の治療法
脂漏性皮膚炎の原因が真菌であるとわかれば、保湿クリームなどで皮膚のカサ
つきを一時的に抑えるといったことでは意味がないということはお分かりです
よね。逆にかえって症状が悪化することもありますので注意が必要です。
脂漏性皮膚炎の初期症状は、炎症による軽い赤みやかゆみ程度なので、市販の
軟膏などで対処する人も多いかも知れません。それで治れば他の皮膚炎なので
問題ないのですが、そのような軽い症状であっても、長く続く場合は「脂漏性
皮膚炎」の疑いが強いのです。
なので、真菌マラセチアを抑える効果のあるスキンケアをする必要があります。
更に、食生活を見直し、脂っこい食事は控えて皮脂の分泌を抑え、皮膚の代謝
を改善するためビタミンＢ群、ビタミンＣを多く摂るように心がける必要があ
ります。
そして、脂漏性皮膚炎が疑われるような場合は、かゆいからと洗顔や洗髪に刺
激性のある石鹸やシャンプーを使ったり、ゴシゴシ洗ったりせず、皮膚を傷つ
けないように優しく洗い、しかも洗い残しのないようにしっかり洗うというこ
とが大切です。
また、何事にも言えることですが、ストレスや睡眠不足などホルモンの乱れや
皮膚の健康に良くないことは避けること、入浴はシャワーだけではなく湯船に
浸かるといった、あまりにも普通過ぎることをごく普通にやるということです。
一般的には男性の方が女性より発症が多いと言われていますが、それは日頃の
スキンケアの違いや食べ物による差といったもので、女性だから安心というも
のではありません。
脂漏性皮膚炎は、生後２週間から１２週間の幼児と、思春期から４０歳くらい
に発症のピークがあると言われていますが、乳児の場合は他に細菌感染などが
なければ、やがて自然に治りますので、それほど心配したものでもありません
が、成人の場合は、一度発症すると完治時期が不明なほど長期にわたり再発を
繰り返すタイプの病気なので、脂漏性皮膚炎とわかった場合は、真剣に取り組
まなければ、後々悩み続けることになります。