1.高齢者はロコモ対策が必要
ロコモ(ロコモティブシンドローム)とは、移動するための能力が衰えたり、不足してい
る状態のことを言います。原因は病気であることもありますが、問題は、日常生活では何
の支障もないと思っている人でも、すでにロコモが進行している人が少なくないというこ
とです。すぐ近くでも乗り物に乗るとか、駅や公共施設でも、階段ではなくエスカレータ
ーしか使用しないような人は要注意です。
ロコモの説明では「運動器の障害による移動機能の低下」という言葉が多く見られますが、
運動器とは、骨・筋肉・関節・脊髄・神経が連携して身体を動かす仕組みのことを言いま
す。そして、この運動器は日常の生活で体を動かして負荷をかけることで維持されます。

現在のロコモ度を知りたい人に、すぐにできる方法があります。正式なロコモ度テストと
は少し違いますが、椅子に腰掛けて、片脚または両脚だけで椅子から立ち上がれるかどう
かを調べてみることです。片脚でも立ち上がれる人は、今のところは大丈夫ですが、両脚
でも立ち上がれないようなら、すでにロコモが始まっていると考える必要があります。
ただし、テストによる結果でショックを受ける必要はありません。テストを受けるまでは
ロコモを意識せず生活できていたということですから、少し生活スタイルを変えてみるだ
けでも十分回復が期待できるからです。しかし、まだ大丈夫だからと何もしないでこれま
でと同じ生活を続けていると、いつの日か、風邪などで2~3日寝ただけでも、歩行困難
な状態に陥ってしまうことがあります。
2.60代から始めるロコモ対策
現代人の生活スタイルで普通に生活していると、40代になるころには、筋肉量は若い頃
から30%ダウンすると言われています。また、そこからは急速に低下していくとも言わ
れていますので、無理なくロコモ対策を始める時期は60代ということになります。つま
り、実際に筋力の低下を自覚するようになる頃が、ロコモ対策のはじめどきということに
なるのです。もちろん、もっと若いころから始められれば理想ですが、人間は何か不具合
なところが現れて、必要に迫られるまで行動しない生き物であることも分かっています。

これにより、人間は何も悪いところがないのに、将来に備えて継続的にトレーニングを行
うことができる人は非常に少ないということが分かりますので、まずは誰にでも簡単にで
きるロコモ対策として、1日に約2km(30分程度)歩くようにしましょう。特に運動
と捉える必要はありません。通勤時・買い物時などを利用してでも問題ありませんので、
とにかく「歩く(できれば少し速足で)」ことです。
次は、食事です。筋肉の材料であるタンパク質(肉・魚・大豆製品・卵など)と、それを
分解・合成を促進するビタミンB6(かつお・まぐろ・キウイ・バナナなど)をバランス
よく摂取することです。特に女性は更年期を境に一気に進むとされている骨粗しょう症対
策として、カルシウムを多く含む食品(小魚・海藻類・乳製品など)やビタミンK、ビタ
ミンDも不足しないような食事を心がけて下さい。
最近は、小股でチョコチョコ歩くペンギン歩きの人や、何かにつかまらなければ一人で立
てない人をよく見かけます。ロコモが原因か、それとも他に何か問題があるのかは分かり
ませんが、将来の自分が今と変わりなく元気に歩けるように、少しずつ運動器を強化して
いくような生活に変えて行きましょう。