１．気象病とは何か
気象病とは、気候の変化によって身体に現れる諸症状のことで、多くの場合は病気という
より「頭痛」や「めまい」といった軽い症状であるため、特別な治療を考える人はあまり
多くありません。しかし、ときには「脳卒中」「心筋梗塞」「喘息」などの悪化というよ
うなハッキリとした病気というかたちで現れることもあります。
気象病の原因が「天候」という自然現象であるため、根本的な治療法もなく、それぞれの
症状に合わせた「対症療法」が中心になります。頭痛に対しては頭痛薬といった感じです。
ただ、気象病そのものが、近年注目されるようになった病気であり、軽い症状では日常生
活に支障がでるというほどのこともなく、何となくそのまま放置されているケースも多い
ため、基本的にはそれほど多くのデータがある訳ではありませんが、体調不良が起きると
いうことは、そこには気候の変化に対する何らかの体の反応があるということです。
何となく、原因不明、多岐にわたる症状（体調不良）という言葉で思い出すのが「自律神
経失調症」です。つまり、気象病も、気圧・気温・湿度の大きな変化によって、自律神経
が乱れることが原因と考えられています。多い症状から考えられるのは、自律神経の乱れ
によって、血管の収縮・拡張機能が異常になると「頭痛」が現れやすく、内耳の機能が低
下すると「めまい」が現れやすいということになります。
一般的に、気象病になりやすいのは、女性、更年期症状の強い人、乗り物酔いしやすい人
と言われているのも自律神経の乱れが深くかかわっていることと無関係ではありません。
２．気象病の予防法
気象の変化を受けやすいのは「内耳」で、そこから神経を経て脳に情報が伝わります。そ
の際に、感受性の強い人は、脳にも過剰に情報が伝わることで自律神経が乱れて、さまざ
まな症状が出やすくなると考えられています。
ちょっと考えただけでは、予防する方法などないような気もしますが、実はそのように感
じるときは基本にもどることです。規則的な食事、適度な運動、十分な睡眠、といった生
活習慣を見直して、欠けているところを修正することから始めます。それにより、体内の
水分バランスを整え、ストレスを発散させ、血流を改善することで自律神経のバランスを
整えていくのが、地味なようですがもっとも早く確実な方法になります。
そして、個々の弱点に沿って効果的な対策を考えるようにします。例えば、寒い気候や気
温の変化に弱い人は、体を温めることを優先して行うようにします。ゆっくりと入浴する
ことで血行が良くなり、リラックスしてストレス軽減効果もあり、体温を上げる効果もあ
ります。雨が降る前や気温の変化に弱い人は、水分や塩分の摂取方法を見直してみるとい
ったことを、自分の体調を観察しながら調整していくようにします。
ます。西洋医学では原因の特定できない症状の治療法がなく、その場合に診断名とされる
のが自律神経失調症となります。そして、そのような特定の症状に対してではなく、その
症状の起こる根本的な原因を改善して、起こりにくい体にしようとするのが漢方医学の考
えで、まさに気象病（自律神経失調症）に適した治療法と言えるかも知れません。
