１．へバーデン結節の原因と症状
へバーデン結節とは、手の指の第一関節に腫れや痛みが生じ、徐々に変形していく病気で
中高年の女性に多く見られる傾向があります。その原因はまだ解明されていませんが、加
齢にともなう変形性関節症の１つと考えられています。
変形性関節症とは、関節の骨と骨の間の軟骨の摩耗・老化が原因で、骨が少しずつ変形し
ていく病気のことを言います。なので、へバーデン結節とは手指の第一関節に起こる変形
性指関節症ということになります。
そのメカニズムは、加齢とともに指の軟骨が老化したり減少することで、骨と骨がぶつか
り合うようになります。これが繰り返されることで骨に新たな隆起（コブ）が生じます。
これが結節で、関節の変形や腫れ、ゆがみ、痛みなどの原因になります。
ただ、へバーデン結節の発症は、更年期の女性に多いことや、利き手以外にも症状が現れ
ることから、女性ホルモン（エストロゲン）と関係しているとも考えられています。
もちろん男性にも発症しますが、女性に比べると１０分の１というレベルで、その原因も
指の使い過ぎといった感じのものが多いと言われています。また、近年では年齢・男女を
問わず、スマートフォンの持ち方によってもへバーデン結節誘因の可能性が指摘されてい
ます。さらに、甘いものが好き、肥満、加工食品やレトルト食品をよく食べる人にも多く
見られる病気とも言われています。
へバーデン結節になると、第一関節の「ピリピリ」「チクチク」といった感じの痛みが特
徴で、手をぶつけたりすれば激痛が走るような痛みになることも少なくありませんが、指
を使っていない、じっとしているときにも痛みが起こることがあります。
第一関節に赤みのある腫れが出ることもへバーデン結節の症状のひとつで、関節を挟んで
２つのコブ（結節）ができます。また、膝に水がたまるという話を耳にしたことがあると
思いますが、それと同じようなことが指の関節にも起こります。第一関節の手の甲側に水
ぶくれができることを粘液嚢腫（ねんえきのうしゅ）と言います。
へバーデン結節は、症状が出たり治まったりしながら、１０年くらいかけて関節が変形し
ていきます。結果、手を強くにぎれない、包丁が使いにくい、ビンのふたが開けにくい、
指が伸びにくくなるなど、日常生活にも不便を感じるような状態になって行きます。
２．へバーデン結節の予防の仕方
へバーデン結節を予防するには、「栄養バランスを考えた食事内容」「糖質や加工食品を
避ける」「女性ホルモンのバランスを整える」ことを考えてみましょう。もうすでに症状
が出ている人でも、症状の軽減に役立つと言われています。簡単に言えば、肥満を予防し、
関節周りの炎症を起こす原因（トランス脂肪酸など）を避けるようにすることです。トラ
ンス脂肪酸を多く含む代表的なものが加工食品です。
日常生活では、当然ですが「関節に痛みを感じる動作は控えること」です。無理に動かす
ことで炎症を強めることになります。次に、指の曲がりが気になって「指を反らそうとす
る」人もいますが、実はこれも関節に負担をかけることになります。できるだけ触らない
ようにしましょう。そして、「甘いものの大量摂取」は関節周辺の炎症を悪化させる原因
になりますので控えるようにしましょう。また、アルコールやコーヒーなど「利尿作用の
ある飲み物」も控えるようにしましょう。腎臓の機能低下につながることで、骨を強くす
る働きが弱くなってしまいます。
へバーデン結節と深い関係があると考えられている女性ホルモンについては、自分ではな
かなか対処が難しいと思いますが、大豆イソフラボンを日常的に摂取することでへバーデ
ン結節の予防・症状改善につながる可能性があると言われています。女性ホルモンとよく
似た働きをする成分だからという理由ですが、近年わかっているのは、大豆イソフラボン
が腸内細菌によって変換されることで生まれるエクオールの働きということなのです。
で、半数の人がそのようにはならないと言われています。ガッカリされるかも知れません
が、最近は「エクオール」そのものを摂取できるようになっているようです。更年期障害
対策としても有効ですので、へバーデン結節が心配な人はぜひ試してみて下さい。
治療法としては、保存的療法・薬物療法・手術療法・再生医療がありますが、まずはエク
オールや指固定サポーターを使って、薬物療法・保存的療法をしてみましょう。それでも
痛みや変形で日常生活に支障が出るようなら手術を検討してみるということで良いのかな
と思います。
