1.加齢による筋力低下
高齢になると、若い頃とくらべて筋肉量が少なくなったと感じる人が多いと思いますが、
これは筋肉を構成する筋繊維の数が減少して筋肉が萎縮するためです。その傾向が現れる
のは30代からとも言われていますが、いわゆるシニアと呼ばれる年代には、普通に生活
しているだけで、筋肉量は若い頃に比べて約30%も減少すると言われています。
主な原因は、高齢になると身体活動量が減少するため、日常生活で筋肉を使うことが少な
くなること、食欲の減退によりタンパク質やビタミンDなど筋力の維持に必要な栄養素が
不足傾向にあること、老化につながる成長ホルモンやテストステロンなどの分泌量が低下
することなどと言われています。

筋肉は使わなければ衰えるという話は聞いたことはあると思いますが、筋肉をよく動かす
人は筋繊維の1本1本が太く、収縮能力が強化されて行きます。逆に、動かさない人は筋
繊維は細くなり、十分な収縮力がなくなって行きます。やがて体を支えきれないほど筋肉
量が減少して、極端に運動機能が衰えてしまった状態がサルコペニアと呼ばれる状態です。
サルコペニアになると、転倒リスクが高くなり、骨折から寝たきりになったり、家に引き
こもりがちになります。すると、孤独感や抑うつ傾向から精神的な影響も出る可能性が高
くなると言われています。つまり、サルコペニアそのものも辛い生活を強いられることに
なりますが、さらにそこから派生する肥満や生活習慣病など、新たな病気や障害への入口
にいるということでもあるのです。
今現在は普通に生活できているものの、何となく不安定な違和感を感じている人は、両手
の親指と人差し指で輪を作って、片方の足のふくらはぎの一番太いところに当てて、指と
ふくらはぎの間に隙間ができるような場合はサルコペニアの疑いが濃くなっています。
他にも、片足で立ったままで靴下を履けるかどうか、横断歩道の信号が変わるまでに道路
を渡り切れるかどうかといったこともサルコペニアの判断基準とされています。
まだこの段階なら、しっかり対策をすれば筋力の回復も可能ですので、早急に対策を考え
るようにしましょう。
2.筋力低下の回復方法
筋力を強化(サルコペニア予防)するには、まずは筋肉の材料となるタンパク質をしっか
り摂ることです。1食あたり約20gのタンパク質を、肉・魚・卵・大豆製品・乳製品な
どからバランスよく摂取するようにしましょう。
次に、有酸素運動や筋肉トレーニンなどの運動を習慣化しましょう。最初はウォーキング
などの軽い運動だけでも問題ありませんので、少し自信が出てきたらスクワットやレジス
タンス運動など、筋トレメニューも加えるようにして下さい。一度にたくさんのことをす
るより、少しずつでも継続することを目標にして下さい。また、運動とは別に、日常生活
でも、できるだけ体を動かすことを意識することが大切です。

アルコールや喫煙もできるだけ控えるようにしましょう。これらは直接サルコペニアと関
係している訳ではありませんが、栄養の吸収や食欲の減退に影響する可能性が高いと言わ
れています。
一般的なサルコペニア予防・改善法はこのようになりますが、要は自身のこれまでの生活
スタイルがサルコペニアを招いたと考えれば、シンプルに考えれば、これまでと真逆の生
活スタイルにすれば良いだけの話です。
また、予防としては抗重力筋(大腿四頭筋・大殿筋など重力に抗って直立位を保つために
必要な筋肉)の強化をポイントにして下さい。これらの大きな筋肉は加齢により小さくな
りやすい(筋力が低下しやすい)代表格とされています。