1.骨軟化症の原因と症状
骨の疾患と言えば骨粗しょう症がよく知られていますが、もう1つの骨の疾患である「骨
軟化症」についてはどうでしょう。骨軟化症というのは、ビタミンDの欠乏、低リン血症、
腎機能低下などが主な原因となって、骨がカルシウムやリンで十分に石灰化(骨を硬くす
ること)されず、結果、骨の組織が軟らかくなる疾患のことです。
骨が硬くならない(石灰化障害)と、骨の強度が低下するため骨折しやすい状態になりま
すが、子供の時期(成長軟骨帯の閉鎖前)に発症すると「くる病」と呼ばれます。

骨軟化症の症状としては、骨痛、筋力低下、胸郭の変形(鳩胸)、脊柱(背骨)の変形、
偽骨折(骨に大きな圧力が加わっていないのに骨に亀裂が入る状態)などがあります。
骨軟化症の初期症状としては、関節や背中に痛みが生じることがあるとされていますが、
はっきりそれと分かるような症状はないようです。ただ、股関節周りの腰や骨盤から脚、
肋骨などへと痛みが広がって行くような場合は、骨軟化症の疑いがありますので整形外科
や内科などで検査を受けるようにして下さい。
くる病(子供の骨軟化症)の場合は、指で頭を押すと骨がへこむ、乳歯の生え始めが遅い、
虫歯になりやすい、O脚やX脚になる、身長の伸びが遅い、転びやすいといった特徴があ
ります。気になる症状があるようなときは小児科の受診をおすすめします。
骨軟化症の治療は、くる病(子供)の場合は日光浴と食事療法が基本になりますが、重症
の場合はビタミンDが投与されることもあります。大人の場合(骨軟化症)は、活性型ビ
タミンDやカルシウムが投与されたり、他にも状況を見てさまざまな治療が行われます。
骨軟化症のリスクを高くする要因の1つは、体内のビタミンDが不足することで、普段か
ら極端な紫外線ケアをしている人や外出をする機会の少ない人に多いと言われています。
もちろん他にもリスク要因はありますが、骨軟化症の予防で大切なことは、ビタミンDを
多く含む食事や日光浴が必要であることは間違いないようです。
2.骨軟化症と骨粗しょう症
骨軟化症についてはここまで述べてきた通り、その原因の大きなものがビタミンDの不足
で、それにより骨の石灰化に支障が生じた状態です。一方で、骨粗しょう症とは、骨の新
陳代謝の過程で、古くなって破壊される骨の量と新しく形成される骨の量のバランスが崩
れることで、骨が脆い状態になることを言います。
両者の共通点は、骨が脆くなり骨折しやすい状態であることと、痛みが生じる点です。た
た、骨折が起こりやすい部位で見ると、骨軟化症では肋骨・太もも(大腿骨骨幹部)・す
ね(脛骨)・足の甲(中足骨)であるのに対して、骨粗しょう症では腕の付け根(上腕骨
近位部)、背骨(腰椎)、太ももの付け根(大腿骨近位部)、手首(橈骨遠位端)となっ
ています。

また、骨の状態で見ると、骨軟化症では類骨(柔らかい状態の骨)が石灰化骨(硬い状態
の骨)より多くなっていますが、骨粗しょう症では類骨と石灰化骨の割合は同じですが、
骨量そのものが減少していることになります。
つまり、同じ骨が脆いといっても、骨軟化症は骨の石灰化不足による骨の柔らかさによる
脆さであり、骨粗しょう症は骨量減少による骨の脆さという点が違うのです。
骨軟化症は、発症初期では骨粗しょう症・関節リウマチ・脊柱管狭窄症などと誤診される
ことが少なくないと言われていますので、そのような痛みの治療を長期間続けてみても改
善が見られないような場合は、骨軟化症に絞って再検査を受けてみるというのも有りかも
知れません。