１．コーヒーと健康効果
コーヒーは古くから、ちょっと変わった位置にある飲み物といった感じがしましたが、近
年では、健康効果や美容効果についてもその方面の人たちの間で注目を集めています。
何がそんなに良いのかというと、コーヒーには数百種類もの成分が含まれていて、カフェ
インやクロロゲン酸などのポリフェノール類がその代表的なものと言われています。
カフェインはすでに良く知られていますが、中枢神経に作用して覚醒度を高めたり、集中
力を増す効果があると言われていますし、クロロゲン酸は抗酸化作用があり、活性酸素を
除去して細胞の老化や疾患を予防する力に優れていると言われています。
また、最近の研究では、適量のコーヒー摂取は生活習慣病リスクや死亡率の低下、認知症
やパーキンソン病などの神経変性疾患の予防効果も期待できるといった内容の報告も出て
きています。
何となくお分かりかと思いますが、コーヒー習慣は若い人より、中高年と呼ばれる世代の
人にご利益の大きい飲み物と言えるかも知れません。もちろん、若い人にも勉強や仕事中
のパフォーマンスの向上、アンチエイジングなどの効果もあると言われていますので、健
康面でも美容面でも若さを保つ有力なサポーターになると考えられています。
もう少し具体的に言うと、カフェインやポリフェノールには「血管を拡張して血流を良く
する働き」があります。クロロゲン酸は「動脈硬化を抑える抗酸化作用」があります。さ
らに、長期的なカフェインの摂取は「血圧を安定させたり、心血管系の病気の死亡リスク
を下げる」といったデータも発表されています。
また、クロロゲン酸には腸での糖の吸収を穏やかにする働きがあることから、糖尿病の発
症リスクの低下につながるとされています。
その他にも、コーヒーに含まれる成分には、肝脂肪の蓄積を防いだり、肝細胞の炎症を軽
減したりして、肝硬変や肝がんのリスクを下げたりする作用もあると報告されています。
美容面では、リパーゼ（脂肪分解酵素）を活性化して脂肪燃焼効率を上昇させたり、交感
神経を活性化して基礎代謝を上げたり、空腹感を抑える作用で食べ過ぎ防止効果も期待で
きると言われています。
そして、コーヒーの抗酸化物質や抗炎症成分は、神経細胞の損傷を防ぐ作用があることか
ら、認知症やパーキンソン病などの神経変性疾患の予防にもつながる可能性があると言わ
れているのです。
特に女性に嬉しい作用としては、クロロゲン酸による皮膚の酸化ストレスの軽減でシミ・
シワの予防効果、血管の抗老化などのアンチエイジング効果が期待できることです。
２．コーヒーの摂取方法
ここまで書いてきたように、コーヒーを飲むだけでさまざまなメリットがあることは理解
できると思いますが、いくら良い飲み物でも、飲み方を間違えるとむしろ逆効果になるこ
ともありますので、コーヒーの効果を十分に活用するための正しい飲み方についても覚え
ておくようにして下さい。
健康効果や美容効果の高いコーヒーの摂取量は、１日３～４杯と言われています。これ以
上飲んでも効果は変わらず、むしろカフェインの過剰摂取による影響の方が懸念されると
いうことのようです。
次に、できるだけブラックで飲むことがおすすめです。特にダイエットや糖尿病の心配な
人には必須です。時間的には、食後３０分以内が血糖値抑制や脂っこい食事の脂肪分解に
効果的と言われています。ただ、鉄分をしっかり摂取する目的のある人は、食後や鉄分サ
プリ服用後のコーヒーのタイミングを見直すようにしましょう。
一般的にコーヒーを飲む時間帯は、午前中～夕方までとし、１７時以降は控えると睡眠の
質の低下を招くことも少なくなります。
以上が、コーヒーを正しく飲む基本ですが、あくまでも基本ですので、実際には個人の体
調や生活のリズムに合わせた飲み方を心がけるようにして下さい。
ある程度の年齢の人は、どこかで「コーヒーは肝臓に悪い」といった話を聞いたことがあ
ると思いますが、それは１９７０年代に一部の報道や健康指導で、漠然とした根拠に基づ
く最悪の事態を想定した誤解が広められたことによるもので、現代のさまざまな研究やデ
ータに基づく結果としては、むしろ「肝臓に良い飲み物」とされていますので、そこのと
ころは安心しても良いと思います。
