女性に多い膀胱炎の症状と異常を感じたときの対処の仕方

１．膀胱炎の原因と症状
２．膀胱炎の予防と対処

１．膀胱炎の原因と症状

日本人の女性の２人に１人が経験すると言われている膀胱炎は、主に細菌（大腸菌）が感
染して膀胱に炎症が起きる病気です。これを「単純性膀胱炎」と言います。他にも、尿路
に異常があったり、免疫が低下しているときに起きやすい「複雑性膀胱炎」や原因不明で
非細菌性の「間質性膀胱炎」があります。

女性に多い単純性膀胱炎は、尿道から膀胱に細菌が侵入することが原因です。女性の尿道
は短いため、細菌が膀胱に到達しやすいことにありますが、免疫の低下、ストレス、性行
為後などもリスクを高くする要因になるとされています。

そこで、今回は女性なら誰でもかかる可能性があるとされる単純性膀胱炎についてです。

まずは、膀胱炎の初期症状としては、トイレに行く回数が増えること（頻尿）です。排尿
時に下腹部に痛みを感じたり、残尿感が強くなったりもします。症状が進むと、痛みが強
くなったり、尿が濁ったり、血尿が出ることもあります。

膀胱炎は誰にでも起こる可能性があるというポピュラーなイメージから、放置していると
やがて膀胱内の菌が腎臓に流れ込んで腎盂腎炎（じんうじんえん）などを誘発する恐れも
あります。この場合には、高熱・背中や腰の強い痛み・吐き気・脱水症状・全身倦怠感な
どの症状が出るようになります。

膀胱に細菌が入っても、すぐに膀胱炎になるという訳ではなく、体の抵抗力が弱くなって
いるようなときに発症しやすくなります。睡眠不足や精神的なストレス、疲労などによっ
て、体の抵抗力が落ちているようなときに膀胱炎は感染しやすくなるのです。

膀胱炎が疑われるような異常を感じたら、早目に泌尿器科を受診しましょう。近年は病院
もよく休みますので、異常に気付いたときが連休の最中ということもよくあります。そん
なときにも、何もしないよりは、市販薬などで対処しながら病院が開くのを待つようにし
ましょう。初期段階ならそれで症状がおさまることもあります。ただ、症状がおさまって
も、他の病気も気になるなら、念のため病院で検査を受けるようにして下さい。

２．膀胱炎の予防と対処

膀胱炎は、女性の誰にでも起こりやすい（男性にも起こります）ということが分かってい
ますので、できることなら日常生活上で予防することを心がけたいものです。その方法は
膀胱内に菌を入れないこと、膀胱内で菌を増殖させないことです。

具体的には、水分をしっかり摂って、尿をきちんと出すことで、膀胱内の細菌を排出する
ようにします。そして、睡眠不足・ストレス・過労を避けるようにして、体の抵抗力を落
とさないようにすること。陰部を清潔に保つことです。特に排便時や生理ナプキン、おり
ものシートなどの小まめな交換など、細菌が付着しやすい環境を作らないことです。

同じ膀胱炎でも、いちばん驚かされるのが出血性の膀胱炎ではないでしょうか。アデノウ
イルスや薬剤シクロホスファミドの副作用が原因になっていることが多いですが、排尿時
痛とともに、少し尿の色が濃く見えたり、明らかに尿が赤い（かなり出血がある）場合の
ことです。

一般的には、自然に治ることが多いですが、安静にして、十分な水分補給をして、細菌感
染が疑われる場合には抗菌薬などを使用します。出血量が多かったり、症状が改善しない
場合は、膀胱がんなどの病気の可能性もありますので、特に高齢者の場合は専門医の診察
を受けるようにしましょう。また、病院を受診するときは、それまでの経過を簡単に説明
できるように症状の推移を書き留めておくと役に立つかも知れません。