1.皮脂欠乏症(乾燥肌)の原因
一般的に「乾燥肌」という名で知られていて、ほとんどの人は病気という捉え方をしてい
ないようですが、皮脂欠乏症とか乾皮症と呼ばれる皮膚疾患の1つです。軽度な場合は、
市販の保湿クリームなどのケアでも対応できることが多く、単に体質の問題と考える人が
多いようです。
皮脂欠乏症とは、本来は加齢などによる保湿機能の低下や過度な刺激、過剰な洗剤の使用
などが原因で起こることが多いため、高齢者に多い疾患とされていましたが、近年は生活
スタイルの変化もあって、年齢に関係なく乾燥肌の症状が見られるようになっています。
人間の皮膚の一番上の層(表皮)には、皮脂膜、細胞間脂質、天然保湿因子が存在してい
て、これらの働きで皮膚は保湿されています。つまり、皮膚の表面には皮脂膜という見え
ない膜が存在し、その下の表皮細胞には細胞間脂質が存在し、さらに天然保湿因子と呼ば
れるアミノ酸類・尿素・有機酸なども保湿に貢献しています。これらの保湿成分は、体内
の水分の蒸発を防いで皮膚を保湿するだけではなく、外界からの異物の侵入を阻止して外
敵から身体を守る働き(バリア機能)もしています。
しかし、これらの保湿成分は加齢とともに減少するため、高齢になると、皮膚が乾燥して
乾燥肌(皮脂欠乏症)になるケースが多いということなのです。ただ、近年はエアコンの
普及や電子機器、洗浄剤などの過剰使用で、皮膚への過度な摩擦刺激が原因となって皮脂
が欠乏するといった状態も普通に起きるようになってきています。
2.皮脂欠乏症の症状と予防方法
皮脂欠乏症になると、全身にうろこのような物質(小型鱗屑)が見られるようになります。
これは、皮膚表面の皮脂が欠如し、角質の水分量が減少したときに現れる症状です。なの
で、このような症状が現れたら適切なスキンケアによる保湿を心がけ、生活環境を見直す
必要があるというサインでもあるのです。進行すれば、皮膚表面の角質層がボロボロと剥
がれ落ちたり、ひび割れなどの症状が起こります。またヒリヒリとした痛みやかゆみを伴
うため、掻きむしって湿疹ができたり、傷口から細菌が侵入して感染症を引き起こしたり
することも少なくありません。
昔は冬に多いとされていた空気の乾燥は、今ではエアコンの普及で年中乾燥した環境で生
活している人が多いので、まずは年中「乾燥対策」を怠らないことが大切です。
に皮脂を落としてしまうことになりますし、温熱刺激による炎症を引き起こすこともあり
ますので、できれば湯温は41℃程度に抑えましょう。また、体を洗うときにも、摩擦の
少ないタオルを使用したり、洗浄能力の高すぎる洗剤は避けて、皮膚表面の皮脂を落とし
過ぎないような工夫が必要です。そして、保湿クリームなどによるケアに最適なのが風呂
上がりですので、ここはしっかりマークしておきましょう。
皮脂欠乏症は、乾燥肌(ドライスキン)の延長線上にある疾患ですので、皮膚の乾燥が起
きやすい時期には小まめに保湿に努めることで、ある程度の予防が可能です。まずはしっ
かり保湿することです。普通はセルフケアで予防・改善が可能な症状ですが、皮膚トラブ
ルが改善されないようなら皮膚科を受診して相談してみると良いでしょう。