1.ドライマウスの気付き方
ドライマウスとは、唾液の分泌が不十分であるときに現れる症状です。一般的には唾液は
毎日1リットルも分泌されているのですが、それをあまり意識することはありません。し
かし、そのお陰で口内は潤いが保たれ、細菌などの繁殖を防いだり、洗い流したりして虫
歯や歯周病、口臭などを抑えたりすることで口内の健康を保っているのです。
ただ、極端に唾液が減ると、口が乾いたり、ネバついたり、話がしにくくなったり、食べ
物が噛みにくくなったりといった症状を自覚するようになりますが、そのようなときは、
すでに唾液の量が半分程度にまで減っていると言われています。
ほとんどの人は、緊張したときなど一時的に口が乾くといった経験をしたことがあると思
いますが、そのような状態が慢性的に続いていたり、口の中に痛みを感じたり、乾燥した
食べ物(パンやビスケットなど)が食べにくい、味覚がおかしいといった症状が見られる
場合は、ドライマウスを疑ってみる必要があります。
ドライマウスになる原因はさまざまですが、主なものは加齢と複数の薬品の副作用と言わ
れています。また、入れ歯の不具合やストレスなどでもドライマウスは起こると言われて
いますので、つまるところ、高齢になるとドライマウスになる確率が高くなるということ
なんですね。加齢による機能低下は致し方ないにしても、それ以外の思い当たるところが
あれば、まずは可能な範囲で調整してみることから始めてみると良いかも知れません。
2.ドライマウスの予防方法
まずは、ドライマウスに早く気付くことが大切です。自分で確認できるものに「舌のしわ」や「口臭」があります。口臭は他人から指摘されることもありますが、それより自分でチ
ェックするのが近道です。現在は口臭チェッカーという器具も安価で入手できます。
そして、ドライマウスかなと思ったら、その原因を取り除くことが大切ですので、口が開
きやすい人は「鼻呼吸」の習慣をつけること、柔らかいものばかりを食べている人は噛み
応えのあるものを食べるようにすること、ストレスの多い人はリラックスできる環境をつ
くることなどを意識してみましょう。
また、水分の摂取、室内の乾燥といったことも気になる人は調整しましょう。
次に、対症療法としてですが、マウスウォッシュ(口内洗浄)、保湿スプレー、保湿ジェ
ルなどで口の乾きを悪化させないようにします。寝るときはマウスピース(医療機関で本
人にあったものを作る)やアゴマスクなどで口を閉じて寝る習慣をつけることで、口の乾
きを防ぐようにします。
他にも、糖尿病・貧血・シェグレーン症候群・後天性免疫不全症候群などの病気が関係し
ていることもありますし、抗不安薬・抗ヒスタミン薬・抗うつ薬などの副作用などでも起
こります。これらの場合は原因療法で、その原因を取り除くための積極的な治療から始め
ることになります。
たまにガムや飴をなめることで唾液の分泌を促進させようとする人がいますが、それも度
が過ぎると、糖分による別の病気のリスクを高めることもありますので、常用するという
考え方は見直す方が無難です。それより、よく噛む、酸味や甘味による適度な味覚刺激に
より、唾液の分泌を促進するような食事法を選ぶことをおすすめします。