１．耳鳴り・頭鳴りの原理は同じ
耳鳴りや頭鳴りに悩む重度の難聴者（聴力機能が完全に失われている人）が少なくない、
と聞くと何か変ですか？つまり、音が聞こえない人でも、耳がキーンと鳴る、頭がジンジ
ン鳴るという音は聞こえているということです。
音というのは、物理的な摩擦による振動のことで、その振動が鼓膜を通して各器官に伝達
されて、脳に到達したときに「音」と認識されます。このことから、耳鳴りや脳なりと言
われる音は、空気中を伝って鼓膜に到達する振動もなく、他の人は誰もその音を確認する
ことができない音ということになります。
では、耳鳴りや脳鳴りと言われる音の正体は何なのかということですが、これは物理的な
音ではなく、本人の脳の中で発する電気信号の情報がどのように認識されたかという、脳
の中での情報処理の仕方の問題によるものなのです。
なので、普通は病院へ行っても「原因不明」ということになりますし、自身の感覚によっ
て、耳が鳴る、頭が鳴るという表現が使われているに過ぎず、両者の決定的な違いという
ものはないのです。
病院へ行けば、それなりに、耳の異常としては、耳管に炎症が起きて耳管開口部が腫れて
塞がる耳管炎とか、脳の異常としては、大脳の側頭葉にある聴覚野という部分に障害が起
きているとか、脳の血流が悪くなって脳血管障害が起きているとかいう説明をしてくれま
すが、特に大がかりな検査が必要と言われなければ、原因不明の自分にだけ聞こえる音と
いうことですので、その意向に沿って対処してみましょう。
２．耳鳴り・頭（脳）鳴りの対処法
原因不明というものは、普通は治療法もないのですが、実はそのような症状を生み出すこ
とに関与しているであろうと思われるものはいくつかありますので、まずはそのようなと
ころから改善していくことになります。
このような場合にやるべきことも決まっていて、生活習慣の改善、栄養バランスのとれた
食生活、適度な運動というのが定番ですが、ここでもやはり有効な手段になります。特に
血流が悪いという点では適度な運動は欠かせません。血流をコントロールする自律神経に
影響を与えるストレスの解消にもなりますので、ぜひウォーキングなど手軽に始められる
ものから取り掛かってみて下さい。
また、一時的な耳鳴り・頭鳴りの場合は、他のことに集中してみると聞こえなくなるとい
う人がほとんどですので、あまり耳鳴り・頭鳴りに意識を向けないようにすることです。
そして、このような意識で左右されるような症状の改善に適しているのが漢方薬です。も
ちろん医薬品ですので、おまじないといった種類のものではなく、ちゃんと効能・効果も
認められています。
あと、原因がわからないなりに原因と思われるという類のものに、メタボ、喫煙、毛染め、
ヘルペス、常用薬といったものがありますので、該当すると思われる人は、ヘルペスの治
療をしてみたり、喫煙・毛染めを控えたり、薬の種類を変えてみると良いかも知れません。
ただ、耳鳴り・頭鳴りの症状は、６０歳以上の特に男性に多いとも言われていて、ある意
味、体の機能の低下によるところとも言えますが、それ以上に、仕事から解放された結果、
これまであまり気にならなかったことが気になるようになったと言えなくもありません。
日本人の耳鳴り・頭鳴り患者数は１５００万人とも言われていますので、それほど特殊な
症状でもないという考えで、あまり気にしないことが一番の対策かも知れません。
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