アルツハイマーの症状を見抜く
脳梗塞などが原因で発症する認知症と違って、アルツハイマー型認知症は長い時間かけて
ゆっくり進行して行くタイプのものなので、その進行過程における特徴を知って、自分や
周囲の誰かが少しでも早く気付くことが、アルツハイマーの悪化を遅らせることができる
唯一の方法です。
もうご存知の人も多いと思いますが、現状では医学の力でアルツハイマーは治すことはで
きませんので、症状の進行をゆるやかにしたり、行動や精神的なサポートをする程度のこ
としかできません。なので、できるだけ早く症状に気付いて対処することが大切なのです。
一般的に、アルツハイマーは高齢者の病気と思われていますが、若年性アルツハイマーと
言って、比較的若い世代の人にも発症します。しかも、この場合は高齢者より症状の進行
が速いので事態は深刻です。
「認知症=アルツハイマー」と考えている人も多いですが、認知症とは「認知障害を引き
起こす病気の総称」で、アルツハイマーもその中に含まれる病気の1つということです。
脳内でアルツハイマーの予兆が始まるのは、認知症と診断されるずっと前にあります。ま
だ誰が見てもまったくの正常と思われている段階から始まっていて、その期間も20年か
ら25年も前から始まっているというデータもあるのです。
誰が見ても「まったく正常」という段階でアルツハイマーを見抜くことは難しいですが、
「軽度認知障害(MCI)」という認知機能の一部に問題があるが日常生活に支障がない
レベルで気付くことができて、適切な治療を受けることができればかなり救いがあります。
普通には、認知症というより日常の生活で起こりうる「ど忘れ」といった感じですので、
これでもなかなか見極めは難しいという問題があります。
具体的には、「家族の名前を思い出せない」「約束の時間や場所が思い出せない」「電話
やテレビの内容を部分的に忘れる」「あれ」「それ」といった代名詞が増えるなど、加齢
による物忘れとよく似た症状ですが、そんな中でも「ちょっとおかしい?」と感じたら、
まずは検査を受けてみることです。
実は本人が一番知っている?
アルツハイマーの症状は、少しずつ進行していくため周囲の人でもなかなか気付きにくい
という特徴がありますが、実は、その異変に最初に気付いているのが意外にも本人だと言
われています。自分の認識とかみ合わない現実にショックを受けたり、ストレスを感じた
りして、不安やうつ状態におちいることもあり、そのことによりアルツハイマー初期と診
断されることも多いのです。
具体的には、「何度も同じ内容の質問をする」「財布や通帳など大事なものが見つけられ
ず身近な人を疑う」「これまで興味を持っていた趣味や習い事に興味を示さなくなる」「
テレビのリモコン操作ができなくなる」「忘れていることを取り繕おうとする」「妄想を
語る」「ボーとしている時間が増える」といったような症状が現れるのがアルツハイマー
初期の段階とされています。
この段階で気付いて相応の処置をすれば、症状の進行を遅らせたり、記憶力の改善なども
期待できると言われていて、九州大学名誉教授の藤野武彦先生を中心とした研究チームが
「プラズマローゲン」を投与して成功しています。アメリカでも同じく9割の患者の症状
が改善したと報告されていますので、やはり早期発見、早期治療が有力なアルツハイマー
の対処方法ということになります。