1.サルコペニアの原因
サルコペニアの主な原因とされているのが、加齢による筋肉量の低下、筋力の低下です。
加齢とともに体内で合成されるタンパク質の量が減少し、逆に分解されやすくなることが
大きな原因と言われていて、実際、40歳を過ぎると年間1%程度の筋肉量が低下すると
言われています。何も対策を考えなければ、60歳になるころには2割も筋肉量が減って
しまうことになります。
病気や怪我で入院した経験のある人なら理解できると思いますが、筋肉は使わないと萎縮
します(廃用性筋委縮)。この場合は、何と2日で1%もの筋肉量が減ると言われていま
すので、ちょっと入院しただけでもリハビリが必要になるレベルです。特に近年は乗り物
に依存する若い人も多く、ファストフードやインスタント食品などを多用することで栄養
不足気味である人も多いため、将来的にサルコペニアのリスクが高い人が増えていると言
われています。

現在の年齢はともかく、ふくらはぎのもっとも太いところ(下腿周囲長)を測ってみて下
さい。男性で34センチ未満、女性で33センチ未満なら、すでにサルコペニアが始まっ
ているかも知れません。また、筋力の低下を知りたい場合は、握力を測定してみて下さい。
男性で28kg未満、女性で18kg未満の場合は、すでに筋力が落ちていることを意味
しています。
他にも神経筋疾患(筋ジストロフィーなど)や身体的ダメージ(感染症や外傷など)、悪
液質(ガンや臓器不全など)もサルコペニアの原因になりますが、これらの病気はサルコ
ペニア以前の治療が優先されますので、以下のサルコペニア対策は病気以外の筋肉量・筋
力の低下に対する予防法になります。
2.サルコペニアの予防
筋肉量が低下して、筋力が落ちると、立ち上がったり、歩くことが難しくなります。イメ
ージ通りに体が動かなかったり、頻繁につまづくといったことが起こり始めると、すでに
筋肉・筋力の低下が始まっています。

サルコペニアの予防・改善には「運動」と「食事」が大切になります。まだ目立って筋肉
量の低下を感じていないようなら、ウォーキングなどの有酸素運動でも大丈夫ですが、た
だダラダラ歩くのではなく、インターバル速歩(ときどき速く歩く)を取り入れるように
することです。また、足指に着けて歩くだけで筋力がアップするというグッズもあります
ので、興味があれば使ってみて下さい。
そして、筋トレも必要と思われる場合は、まずはスクワットなどのセルフケアをおすすめ
します。いきなりスポーツジムなどに通ってもあまり意味がありません。短期間の集中ト
レーニングより、日常生活で絶えず鍛える方法を習得する方が将来的にも役に立つのです。
同時に、食生活も見直してみましょう。もちろん筋肉量の増加と老化予防をめざすことを
目標にします。重要視すべき栄養素は、タンパク質、ビタミンD、カルシウムなどですが、
それだけではなく、総合的に栄養バランスの良い食事をめざすようにすることです。
また、ファストフード、インスタント食品、レトルトフード、コンビニ弁当などを多用し
ている人は、まずはそちらの利用を控えることが必要です。
サルコペニア・フレイル・ロコモティブシンドローム(ロコモ)といった言葉を断片的に
聞いている人も多いかも知れませんが、サルコペニアは加齢などにより筋肉が減少して体
の機能が低下した状態で、フレイルとは加齢にともなう予備能力・回復力が低下した状態
です。身体的な問題(サルコペニア)の他に精神・心理的な問題(認知機能の衰えなど)
も含まれ、要介護の前段階という位置づけになります。ロコモというのは運動器の障害の
ために移動機能が低下した状態のことで、サルコペニアの延長線上ということになります。