1.依存症の要因と特徴
依存症というと、アルコール依存やギャンブル依存などが良く知られていますが、アルコ
ールや薬物、ニコチンなどに依存する物質依存と、ギャンブル、ゲーム、買い物などに依
存する行動嗜癖があります。つまり、特定の物質や行動に対して抑制がきかなくなり、や
めたいと思ってもやめられない慢性で再発性の高い疾患のことです。

依存症は、傍目には、単に意思が弱い人と受け止められやすいですが、実は依存症は「慢
性脳疾患」として国際的にも定義されている医学的な脳の病気なのです。
つまり、脳の報酬系(脳内で快感ややる気、学習、習慣形成にかかわる神経回路)が、特
定の刺激に過敏に反応して、過剰にドーパミンの放出を促し、脳がそれが生命維持に必要
な行動と誤認してしまうことで、強烈な欲求が起こり、やめようとしても止められず、生
活や健康が破壊されても続けてしまうようになるのです。
依存症の初期では、本人には自覚がほとんどない状態で、ストレスの緩和や気分転換的な
感じと捉えられています。やがて、やめようと思ってもやめられないような状態になるこ
とが増えて、脳に変化が起きてきます。そして、コントロールができなくなって、依存し
なければ落ち着かなくなり、人間関係や健康、経済状態が崩壊することになるのです。本
人は、やめられないことに絶望していても、やめることができなくなってしまうのです。
また、依存症は悪化することはあっても、自然治癒の可能性はほぼないと言われています
ので、依存症に気付いたときには、放置しないで精神科を受診するようにしましょう。
2.依存症からの回復とは
依存症は、本人だけではなく、家族や社会全体にも影響を与えることが少なくないので、
問題が起きる前に健康的な生活を取り戻す努力をしなければなりません。ただ、依存症は
慢性疾患とされているように、回復可能な病気ではあるものの、再発しやすい病気でもあ
るので、それも含めて治療の一環ととらえる必要があるかも知れません。
依存症は、医学的な治療はもちろん、心理的な治療、社会的な支援、環境の調整など、多
岐にわたりますので、依存していることをやめれば良いというものでもありません。自分
自身の生き方を変えることが大切なのです。
脳の報酬系の過敏性の回復には時間を要しますし、再発を誘発するきっかけになる刺激が
多く存在しています。さらに、脳が変化して判断力が低下すると、自分はまだ大丈夫とい
う気持ちが強くなりますし、周囲の人からの「意思の弱い人」といった偏見扱いにも向か
い合うことになります。

治療法としては、特効薬的なものはありませんので、本人に合った治療法を継続すること
が中心になります。治療中に、特定の物質や行動に興味を持ってしまっても、根気強く治
療を続けていく必要があります。
また、依存症は本人よりも家族などの周囲の人が困ることが多く、専門機関へ連れて行こ
うとしても、本人が頑なに拒否するケースも少なくありませんので、そのようなときには、
まず家族の人が精神保健福祉センターなどの家族相談を受けることで、解決の道が開ける
かも知れません。このような機関は守秘義務優先の対応となっていますので、例え、相談
内容が違法行為なことでも、直接警察に通報するというようなことはありません。
勇気を持って一歩を踏み出してみましょう。