1.高齢者の弱点は足の筋力低下
高齢になると、傍で見ていても足元が不安定に思えますが、実は、それこそが高齢者から
運動能力を奪い、活動範囲を狭めている大きな原因なのです。加齢とともに人間が衰える
もっとも早い部位は下肢(足)と言われていて、その筋肉の減少は20歳代でもすでに始
まっていると言われています。つまり、立つ・歩く・走る・上る・下るといった、日常生
活に必要な動作に影響が出てくるということなのです。

具体的には、足の筋肉量が減少し、筋力が低下すると、徐々に足が上がらなくなって、歩
き方もすり足歩行になってきます。すると、低い段差にもつまずきやすくなり、転倒しや
すくなります。また、高齢になると骨も弱くなっていたりしますので、骨折リスクも高く
なります。さらに、視力やバランス感覚の衰えも加わることで、高齢者の行動範囲は大き
く制約されてしまうことになるのです。
高齢になると、さまざまなところで老化現象が起きてきますが、なかでも日常生活にもっ
とも大きく影響するのが「足の筋肉の衰え」で、言い換えれば、最低限ここだけは退化さ
せないようにすることで、高齢者の生活スタイルが大きく変わることは間違いありません。
また、足の筋肉量を増やし、筋力を強化するメリットは健康面にも影響します。高齢者に
冷え性が多いのは、熱を作り出す筋肉量の減少によるところが大きく、体が冷えることで
汗腺や排泄器官の働きが低下することになり、老廃物の排出機能が低下します。結果、糖
尿病や脂質異常症になる可能性が高くなり、免疫機能の低下にもつながってしまうのです。
2.足の筋肉量・筋力の増やし方
足の筋肉といってもいろいろありますが、まずは最も大きな筋肉を鍛えることです。それ
は「太もも」ですが、筋肉は急に増えるものではありませんので、毎日少しずつ筋肉をつ
けるという気持ちでなければ失敗します。また、あまりいろいろな種類のトレーニングを
しても続かなければ意味がありませんので、まずは「太もも」を鍛えることに集中してみ
ましょう。それだけでも股関節周辺の筋肉全般が鍛えられますので安心して下さい。
筋力の低下が見られるものの、まだまだ外を1人で歩けるというレベルなら、立ったまま
壁に手をついて斜めの姿勢になり、膝を胸のあたりまで引き上げる運動を、片足20回程
度を両足で1セット、1日に2セット行うようにします。

立ったままでは厳しいという人は、椅子に座り、背中を伸ばして、手は太ももに置くか椅
子の横に置き、膝を曲げたままで、無理のないところまで太ももを上げる運動を左右10
回ずつで1セットにして、1日に2セット行います。体を反らせたり、丸めたりしないよう
にして下さい。
まだまだユトリがあるという人は、太もも上げと同じ姿勢で椅子に座り、「つま先を上げ
る」「かかとを上げる」運動も加えてみて下さい。
他にも、椅子に座ったまま、背もたれにもたれないように背筋を伸ばし、足を膝の位置ま
でピンと伸ばす運動などもありますので、太もも上げで余力があれば試してみて下さい。
ただし、「継続できる」ことを最優先でやるようにして下さい。
ある程度まで筋力の回復をめざしてみるのが良いかも知れません。
