１．高齢者の筋力低下リスク
高齢になると筋力は低下して当たり前と考える人が多いかも知れませんが、だからと言っ
て、何もしなければ筋力の低下は若い頃以上のスピードで進んで行きます。その結果、日
常生活に支障が出て介護のお世話になることになりますが、このような加齢による筋肉量
の低下によって現れるさまざまな身体症状をサルコペニアと言います。
本来、サルコペニアというのはギリシャ語で「筋肉減少」の意味ですが、日本ではそれに
より現れる一連の身体的症状を、ひとつの症候群としてサルコペニアと呼んでいます。
高齢になると、筋肉が若いころのように生成されにくくなりますが、それ以上に筋肉その
ものが萎縮したり、筋繊維の数が減ってしまうことが高齢者の筋肉量低下の一番の原因と
言われています。
７０歳ころには、筋肉量は若い頃から３０％も減少すると言われていて、６０歳以上では
５人に１人がサルコペニアを有病しているとも言われています。もちろん、年齢が上がれ
ば、さらにその数も上昇しますが、若い人とは無縁のものかというとそうでもなく、生活
習慣や生活環境次第では、４０代や５０代でもサルコペニアの症状が見られるといいます。
ということは、生活習慣や生活環境に注意を怠らなければ、年齢に関係なくサルコペニア
は予防できたり、改善することも可能であるということにもなります。例え、改善までで
きなかったとしても、少なくとも現状より悪くなることは回避できるはずです。
２．高齢者の筋力の改善方法
筋肉は使うほど強くなり、使わなければ退化するという名言がありますが、実際その通り
で、筋肉を構成する筋肉繊維は動かすことで太くなり、収縮度も増しますが、動かす機会
が減少すると、筋繊維は細くなり、収縮率も悪くなります。
やがて、身体を支え切れないほど筋肉量が減り、運動機能も衰えてしまうと、サルコペニ
アと言われる訳ですが、高齢になると、もともと筋繊維が減少しているのですから、若い
ころの筋肉量の低下とは少し意味が違います。なので、特に高齢者の場合は、定期的に運
動をすることが最初に考えなければならない課題です。
現状で、歩ける状態なら、まずはウォーキングなどを習慣化することです。さらに強化も
考えられる状態なら、着けて歩くだけで筋肉強化ができるというグッズもありますので、
それを活用しましょう。
次に、筋肉量を増やすには、その材料（タンパク質）も摂取する必要があります。なんだ
そんなことかと思われるかも知れませんが、高齢者には結構ハードルが高いことでもある
のです。それは、高齢になると、食事の量が減りますし、噛むちからも弱くなり、内臓機
能の低下で消化吸収力も減少します。それじゃ仕方ないなとあきらめるのではなく、少し
視野を広げてみて、こいうときこそ活用したいのが栄養医薬品です。
現時点で、筋肉量の減少が自覚できる、筋力（握力）などが低下している、歩行速度が遅
くなったり、身体機能が低下しているといった症状が認められるときは、すでにサルコペ
ニアを有病している可能性が高いと思われますので、運動と栄養の摂取を中心に今日から
すぐに対策を始めることをおすすめします。
|
|
