1.腱鞘炎になりやすい人
手の指をよく使う人は、手に違和感を覚えたときに考えるのは腱鞘炎かも知れません。腱
鞘炎とは、腱鞘部分が腫れて厚みが生じることで、中を動く屈折腱が締め付けられる状態
になりますが、それでも無理に通過しようとするときに摩擦が起きて痛みが生じている状
態のことを言います。例えるなら、腱鞘はズボンのベルト通しで、屈筋腱はベルトのよう
なもので、ベルト通しの一部が太くなって、通りにくくなっているところを無理に通過さ
せようとしているような状態です。

一般的に、腱鞘炎は、妊娠・出産を経た女性が更年期を迎えるころに発症しやすいとされ
ていますが、仕事内容や生活環境によって、男女差に関係なく発症します。
腱鞘炎を引き起こす要因としては、親指から手首に沿ってつながる腱鞘・腱・手首に炎症
が起きる狭窄性腱鞘炎(ドケルバン病)、指の曲げ伸ばしにかかわる靭帯性腱鞘や屈筋腱
に炎症が生じる弾発指(バネ指)、指のケガや手術などで細菌が入り、腱に炎症が起きる
化膿性腱鞘炎、足首の後ろ側に位置するアキレス腱に痛みが生じるアキレス腱炎などがあ
ります。他にも、高齢者・妊婦など、身体に負担がかかりやすい状態にある人も腱鞘炎に
なりやすいと言われています。
腱鞘炎を心配するような環境にある人の予防法としては、日頃から、手の指に負担がかか
らないように注意することです。特に、重いものを持ったり、指を使う仕事をするときな
どは、より意識する必要があります。
2.腱鞘炎の前兆と対処法
腱鞘炎の初期症状(前兆)としては、その大きな原因が関節への負担ですので、痛みとい
うより、関節に違和感を感じることが多くなります。つまり、指を動かそうとしたときに
引っかかるような感じです。
何か変だなと思ったら、まずは患部を無理に動かそうとしないで安静にすることが大原則
です。初めて違和感を感じたようなときは患部を冷やすと症状が改善することがあります。
ただし、慢性的に痛みが出ているようなときは、逆に温めて血行を良くした方が痛みが軽
減しやすくなります。
かさないように、サポーターなどを使って固定するなどの対策をしましょう。
指の違和感に気付かず(気付いていても無視して)放置すると、やがて指を動かしたり、
触れたりすると強い痛みが生じるようになります。さらに、指が不自然に曲がって動かし
にくい状態になります。こうなると、もう仕事や家事にも支障がでてきますので、それ以
上重症化させないように整形外科を受診するようにしましょう。

前述した通り、腱鞘炎は妊娠・出産を経験した女性に多い疾患という見解は、現在でも間
違っている訳ではありませんが、時代の変化で腱鞘炎になりやすい環境が増えたことで、
今では老若男女を問わず、誰にでも発症しやすい疾患という考え方になってきています。
つまり、パソコンのマウスやキーボードの長時間操作、スマートフォンを片手で持って長
時間使用する、ピアノなどの楽器演奏、ゴルフなどのスポーツ愛好家、などなど、21世
紀に入ってからは、それまでは一部の人に限られていた手を酷使するような環境が、ごく
一般の人にも普及した結果ということです。
多少なりとも、それらの腱鞘炎発症因子から手を守る方法としては、ときどき作業する手
を変えてみる、定期的に休憩をとり、作業を連続して行わない、腕・肩・脇などのストレ
ッチを取り入れる、といったことがあります。