1.物忘れと認知症の違い
加齢により誰でも、新しいことが覚えにくくなったり、何かを思い出そうとしてなかなか
思い出せなかったりするようになりますが、これは加齢によるもの忘れで、認知症による
もの忘れとは別のものです。
加齢による物忘れとは、もの忘れの自覚がある点が大きな違いです。例えば、昨日の夕食
を食べたことは覚えているが、何を食べたかを思い出せないといった感じです。認知症の
場合は、夕食を食べたこと自体の記憶がないのです。

認知症で知られているのは、主に「アルツハイマー型」「血管性」「レビー小体型」「前
頭側頭型」の4つで、全体の90%以上を占めています。なかでも約70%を占めている
のがアルツハイマー型認知症で、長い年月をかけて脳内に蓄積した異常なタンパク質が、
神経細胞を破壊して脳の萎縮を引き起こすことで発症します。このタイプの認知症の初期
症状としては、昔のことはよく覚えているのに、最近のことは忘れてしまっていることが
多いという特徴があります。
血管性認知症は、脳梗塞や脳卒中などにより、一部の神経細胞に酸素や栄養が行き届かな
くなることが原因で、脳血管障害が起きることにより発症します。
レビー小体型認知症は、レビー小体と呼ばれる異常なタンパク質が脳内に蓄積して、神経
細胞が破壊されることで発症します。幻視や手足の震えなどの症状が現れます。
前頭側頭型認知症は、脳の前頭葉や側頭葉の神経細胞が減少して脳が萎縮する病気、前頭
葉側頭葉変性症が原因で発症します。感情の抑制が効かなくなって協調性に欠けるような
行動が多くなります。
2.受診が必要な症状とは
認知症になると、最初はあまり大きな変化はありませんが、徐々に前述のような認知症の
症状が現れてくるようになります。その初期症状としては;
・今会ったばかりの人の名前を忘れる
・同じことを何度も行う
・しまい忘れ・置き忘れが増える
・通帳や財布を盗まれたと身近な人を疑う
・計算・運転などのミスが増える
・話のつじつまが合わない
・新しいことが覚えられない
・約束の時間や場所を間違える
・慣れた道で迷う
・人への気遣いがなくなり、怒りっぽくなる
・自分の失敗を人のせいにする
・不安感が強くなる
・意欲がなくなる

といった症状がよく知られています。これらの症状は自分では分かりにくいですが、他の
人からみれば分かりやすいですので、自分の身内や近所の人で、どうも最近どこか様子が
おかしいと感じることが多くなったら、その旨を近親者に伝えるようにしましょう。
認知症の予防方法としては、特に多くを占めるアルツハイマー型認知症や血管性認知症で
は生活習慣病との関係が深いと言われていますので、バランスの良い食事や適度な運動な
どを通して、日常的に生活管理をしっかり行うこととされています。
また、認知症と言えば高齢者と考えられがちですが、65歳未満でも発症(若年性認知症)
しますし、認知症の原因となる異常なタンパク質が脳内に蓄積し始めるのは、認知症発症
の20年も前に遡ると言われていますので、できれば若いうちから生活習慣を見直し、認
知症対策を始めるのが理想的な予防法になります。
