1.鼓膜が破れたときの症状
鼓膜が破れると聞くと、ちょっと恐ろしく感じる人が多いかも知れません。その理由のひ
とつは、ほとんどの人は鼓膜を見たこともなければ、正しく教えられたこともないことだ
ろうと思います。そこで、まずは鼓膜というものの説明から入ることにしましょう。
鼓膜とは、外耳(耳の穴)と中耳(耳小骨のある空間)を隔てる薄い膜状の組織で、厚さ
は約0.1ミリ、直径1センチ程度の楕円形をした膜のことです。
鼓膜の働きは、外耳道から伝わってくる音波を振動としてとらえ、その振動を中耳にある
耳小骨に伝えることです。

鼓膜が破れるというのは、この膜が破れたり傷ついたりすることで、主な原因は、耳かき
や綿棒などで深く突きすぎたり、虫の侵入、飛行機の離着陸時・強く鼻をかむなどによる
気圧の変化、爆発音などの大きな音、中耳炎による炎症、ダイビング時などの急激な水圧
の変化、などよることが多いと言われています。
初期の症状としては、聴力の低下、耳鳴り(キーンとかブーンといった音)、耳からの出
血や浸出液、めまい、などの症状が現れることが多いようです。急激に破裂した場合には
強い痛みも伴うことが多いです。
そこで、見たことのないような膜が破れるとどうなるかが心配ですよね。多くの人は障子
に穴が開いたような状態を想像してしまうようですが、鼓膜は障子紙のようなものではな
く、細胞でできていますので、細胞分裂を繰り返すことで、やがて再生します。その期間
は小さい傷なら10日ほどで再生されますが、線維層(中層)のコラーゲン層が破損する
と、修復が困難になることもあります。
2.鼓膜損傷時の対処の仕方
もうすでに鼓膜の損傷を体験した人もおられると思いますが、鼓膜は意外に簡単に破れて
しまうものと言えるかも知れません。また、破れて、それに気付かないまま治ってしまっ
ているというケースもあると思います。何かちょっと耳が聞こえにくい状態が1週間ほど
続いていたけど、良くなったと感じるようなときには、鼓膜が損傷して回復したようなと
きなのかも知れません。
小さな傷は自然に回復するとはいうものの、鼓膜が破れてしまったかもしれないと思った
ときは、念のため耳鼻科を受診するのが正しい方法です。万が一、損傷が激しい場合は手
術による治療も必要になりますので、その辺のところも含めて、耳に違和感があるような
ときには、できるだけ医師の診察を受けるようにしましょう。

耳鼻科では、適切な治療の他にも細菌感染が起きないように消毒したり、生活上の注意点
なども指導してくれますので、できれば耳鼻科の受診がおすすめです。予想外に損傷が大
きく、手術と言われても、それほど怖がることはありません。手術の内容は、耳の後ろか
ら採取した組織を用いて鼓膜の損傷部分を塞ぐというもので、30分程度で終了する簡単
なものです。しかも聴力の回復率も90%以上ということですので、躊躇するほどのもの
でもありません。
治療にしても手術にしても、それほど心配するようなものではありませんが、完治するま
では、入浴時などに「耳の中が水にぬれないようにする」ことが大切です。耳の中を乾燥
状態に保つことで、治りが早くなると言われています。
そして、当然と言えば当然ですが、完治するまではできるだけ「耳掃除をしない」ように
することです。細菌が繁殖して中耳炎を起こすようなことがあれば、鼓膜の再生が行われ
なくなりますので、最悪、慢性的な中耳炎になってしまうこともあります。
鼓膜が破れたら、外部からの音が8割ほど聞こえなくなると言われていますので、何とな
くそれと分かることが多いと思います。そのようなときは耳鼻科を受診するに越したこと
はありませんが、耳を乾燥した状態に保ち、経過観察をしながら自然治癒を待つというケ
ースも少なくありません。初めて経験したようなときは、できれば病院で説明を聞くこと
をおすすめします。