1.破傷風の原因と症状
破傷風は、破傷風菌に感染することで発症する感染症です。ただ、この菌は酸素があると
増殖できない嫌気性菌なので、普段は固い殻に包まれた状態で、空気に触れない土の中な
どに存在しています。感染経路は「傷口」で、大きくても小さくても、皮膚にできた傷(
ケガややけど、凍傷、ピアスの穴など)から感染して、体内で毒素を出すことで発症する
病気です。

日本での発症者は、年間100人程度と言われていますので、どちらかと言えばマイナー
な感じですが、発症した人の約30%が死亡するとも言われていますので、決して無視で
きるものでもありません。ちなみに、発症した人の大半が30歳以上とのデータもあり、
その理由はわかりませんが、参考程度に覚えておきましょう。
症状としては、体がだるく疲れやすい、呂律が回りにくい、首筋の筋肉がつっぱるなどが
ありますが、特徴的なものとしては、口を開けにくい、顔の筋肉がこわばり笑っているよ
うな表情になる、大きな筋肉の攣縮(ぴくつき)、体がのけぞるようなけいれん、などの
症状があります。
潜伏期間は7日前後で、発症すると、まずは筋肉に関係する症状(飲み込みにくさ・顔の
筋肉のこわばりなど)が現れ、進行すると、全身のけいれん発作や自律神経の異常などが
見られるようになります。結果的として、呼吸困難や心臓停止に至ることもあります。た
だ、障害は運動機能だけで、意識障害は起こらないとされています。
2.破傷風の予防と治療
破傷風の主な感染経路は傷口ですので、皮膚に傷がついたようなときには、適切な処置を
迅速に行うことが大切です。また、特に外傷を負いやすい環境にいる人は、予防ワクチン
の接種が推奨されています。近年は小児期に3回のワクチン接種をされることになってい
ますが、青年になってからも10年ごとの追加接種で感染予防効果があるとされています。
皮膚に大きな傷を受けたようなときは、普通は医療機関のお世話になると思いますが、小
さな傷であっても、放置することで破傷風菌が侵入して発病する可能性があります。なの
で、小さな傷であっても、すぐに傷口を洗浄して、乾燥させた後に消毒をすることです。

つまり、ケガをしないように注意して、ケガをしてしまったら、早急に対処することが破
傷風の予防には大切と言われています。
破傷風にワクチン接種が有効と言われていますが、ワクチンを受けたから安心というもの
でもありません。このワクチンの効果を有効に保つためには、一定期間(10年)ごとの
ブースター接種が必要とされています。ところが困ったことに、2025年7月に沈降破
傷風トキソイドが出荷停止となり、現時点での再開目処が立っていないのです。先のこと
は分かりませんが、当面は、傷口をしっかり洗って、リスクを最小限まで下げる努力で対
処するしかないのかも知れません。また、不幸にして破傷風が発症してしまった場合は、
潜伏期間が短いほど重症で、予後も不良であるようですので注意しましょう。